爆弾

くだらない人間と、優秀すぎる人間は、おなじ結論にいきつくんじゃないかって

「わたしはね、刑事さん。噓が大嫌いなんです。噓にずっと、騙されてきたからです。みんながわたしに噓をつき、噓を教えてきたんです。噓つきが、まるで噓つきじゃないかのような顔をして胸を張っているんです。その馬鹿馬鹿しさに気づいてしまって、だから路上で暮らしたりしてたんです。正直な人間は、生きづらい世の中です。でもわたしはね、むしろ噓つきを憐れに感じたりもするんです。彼らは噓をついている。他人を騙すだけじゃなく、自分自身も騙してるんです。ごまかしにごまかしを、塗り重ねているんです」
「だから無差別テロもオッケーなわけ?楽しんでる正直なおれツエーって感じ?はっ。あんた、心底くだらない男だな」
「そう。くだらないんです。いったでしょ?相手にされない袋に入ったゴミだって。道端の石ころだって。誰からも見向きもしてもらえない、憶えてすらもらえない、のっぺらぼうなんだって」
 背を丸め、下からのぞき込むように、スズキは類家を見上げた。スチール机に、顎がつきかけていた。
「でもわたし、こんなふうにも思うんです。くだらない人間と、優秀すぎる人間は、おなじ結論にいきつくんじゃないかって。わたしと刑事さん、じつはすごく、近しいんじゃないかって」
 それにしても、とスズキが無邪気にはにかんだ。
「刑事さん、意外ともってるじゃないですか、良識」

呉勝浩.爆弾(講談社文庫)

ねこです。

「ばかと てんさいは かみひとえ」みたいな ことばも あったりします。
いっけん おかしな はっそうが きせきの だいぎゃくてんを ひきこんだり。

じっさいのところ ばかと てんさいのさっていうのは
せいこうしたか しっぱいしたか、そのさでしかないと おもいます。
もともとの アイディアじたいは おなじでも
うまくいけば てんさい、うまくいかなければ ばか、
そのくらい せんさいな さ なのです。

アタック25で よくいわれていた あのことば。
「しんちょう かつ だいたんに」が よいかもしれません。

ねこも わりと ぎゃくてんホームランてきな アイディアが うかぶので
ねこと てんさいも かみひとえの かのうせい。
しんちょう かつ だいたんに うまくいくよう がんばりたいしょぞん。

ずっとあなたが好きでした

オードリー・ヘプバーンは生まれた時から大女優だったの?

「一年生は板橋だけなんだろう?」
「あ?」
 当初新入部員は六人いたのだが、気がつけば継世一人になっていた。無限軌道は、豊多摩大学にいくつかある演劇サークルのうち、最も歴史があり最も硬派で、新宿が文化の中心だったころ圧倒的な人気をほこり、全共闘運動と歩調を合わせて凋落、現在では最も人気のないところだと入部後に知った。マイナーなくせにいっぱしぶって芸名を持ち、それで呼び合っているのは滑稽だ。
「同期がいないのなら、二年後は自動的に部長の椅子だろうが。今のうちからゴマをすっておくか、ほい」
 銚子が差し出される。継世は顔をあおぐように手を振りたてる。
「冗談はよしてください」
「冗談というのは、こういうのを言うんだ。継世に注ぐよ、なんてな。いいから飲め」
 猪口を差し出し、なみなみ注がれたぬる燗を舌ですくい取る。
「そこはぐっと空けるもんだよ、部長」
「部長なんてできっこないじゃないですか。僕、初心者なんですよ」
「オードリー・ヘプバーンは生まれた時から大女優だったの?」

歌野晶午.ずっとあなたが好きでした(文春文庫)

ねこです。

せんりのみちも いっぽから。
なにごとも ふみださなければ なにも はじまらないってことです。
「こういんやのごとし」なので 「おもいたったがきちじつ」です。
おねいさんも いつか スペインひろばで ジェラートを たべたいって おもっていましたが
どうやら げんざいは たべあるききんしだと ききました。
なので やろうとおもったら すぐ こうどうすべきなのです。

しかたがないので みぢかなところで だいたいあん
「スペインざかで ジェラートをしょくす」
これです。
しぶやの スペインざかで ジェラートを たべるのも わりとオシャレな かんじがします。
あの せまく ひとどおりのおおい かいだんで たべられるかは なぞですが。

さっそく しぶやの スペインざかきんこうで ジェラートうってるみせ しらべたら
ゆいいつ うってたっぽい とうきゅうフードショーのPARIYAは
リニューアルで ジェラート やめてしまったみたい。
ざんねんきわまりない。
ジェラートのおみせ まわりに みつからなかったので
こちらも ぎゅうにゅうなまアイスで ゆうめいな Shiroichiの アイスで かわりとします。
ふんいき ジェラートっぽいって いってたので ちょうどいいかも。
もうローマでも ジェラートでも なくなってしまいましたが
スペインざかで たべるアイスは きっと おいしいはず。
ねこは くろみつまっちゃで おねがいします。

あの子の殺人計画

夕焼けで、赤く見えるだけだから

「昨日、あたしの代わりに翔太が教室を掃除してくれたんだよね。ありがとう」
「……椎名が帰っちゃったのは、俺の言い方が悪かったせいだから」
 薄闇に覆われてはいたけれど、翔太の頰がほんのり赤く染まったように見えた。あたしがそれを確かめようとしていることに気づくと、翔太はいままでで一番ぶっきらぼうな口調で言う。
「夕焼けで、赤く見えるだけだから」
「もう夕焼けなんて終わってるよ。もしかして、照れてる?」
「少し」
 あたしが思わず笑うと、翔太の口許も少しだけ緩んだ。
 同い年の子とこんな風に笑い合うのは、たぶん初めてだ。

天祢涼.あの子の殺人計画(文春文庫)

ねこです。

あきになると あかとんぼって イメージですが、
さいきん きづけば あかとんぼ みないです。
なつの あつさが いじょうにつづく さっこん、
あきが みじかくなったからなのかもしれません。

ねこは あかとんぼは ゆうやけに てらされて あかいのだと おもってました。
ねこしらべによると あかとんぼは ゆうやけじゃなくても あかいみたい。
あと あかいからといって とくに 3ばい はやいわけでも ないらしいです。
あかとんぼについて ちょっと くわしくなりました。

ねこは ゆうやけをみると ちょっぴり なみだが でてきます。
あかい ゆうひが まぶしいからでは なさそうです。
なんとなく おもいだせそうで おもいだせない、
きおくの おくそこに ひっかかる なにかが あるのかもしれません。

おもいだせないのは ざんねんですが、
これからも ねこは つよく いきていきたいです。