ネコの手を借ります。

となったら、クラゲと人類は、どっちが本当に高等な生き物なのかって話ですよ

「バカだと思ったりはしませんか?」長瀬さんがおそらく初めて、横目で宗也を見た。「クラゲって、脳も心臓もないんですよ。だから人間から見ればバカな存在にしか思えない。バカだから、いつウミガメなどの天敵に食べられるか判らないのに、ゆらゆらと無防備に海を漂ってる」
「ああ……バカと言えば、バカなんですかね」
「でもクラゲは五億年もの間、ほとんど姿を変えないで地球上で生き残ってるんです。恐竜の時代よりも前から生息してて、今もちゃんと生き延びてる。本当にバカだったら、とっくに絶滅してるんじゃないかっていう考え方もできるわけで」
「ああ、確かにそうですよね」
「クラゲは下等生物だっていうのが世間の常識らしいけど、私はそうなんだろうかって昔から思ってて。最近では、はっきりそれは違うんじゃないかって思ってるんです」
「ほう」宗也は心の中で、その心は?と続けた。
「クラゲは戦争もしないし環境破壊もしない。地球環境と調和しながら五億年も生き続けてる。一方、人類の祖先が出現したのは、七百万年前から四百万年前ぐらいの間。クラゲの百分の一程度の時間しかまだ生きてない。なのに人類同士は戦争ばかりやって殺し合いをやめないし、目先の利益を優先して深刻な環境破壊を招いて自分たちの首を絞めてる。人類の寿命はきっと、クラゲよりはるかに短いんじゃないかって私は思ってます。となったら、クラゲと人類は、どっちが本当に高等な生き物なのかって話ですよ」
 どすんとボディブローを食らったような気分だった。人類は高等な動物で、他の生物たちはそれよりも本当に劣っているのか?結構な命題ではある。

山本甲士.ネコの手を借ります。(小学館文庫)

ねこです。

クラゲは いつみても ぷかぷかういていて きもちよさそう。
シンえのしますいぞくかんで クラゲみるたびに おもいます。
でも クラゲも じつは えさのとりあいとか りょうどもんだいとか
あったりするのでは?って ちょっとだけ おもったりしています。
よのなかには ようかいだいせんそうが あるくらいだし、
クラゲだって すこしくらは あらそいしてるかもです。

っておもったけど すいぞくかんとちがって うみは ひろい。そして おおきい。
あんまり りょうどもんだいとか なさそうなかんじもします。
そして すいぞくかんは せまい。
わちゃわちゃしているあいだに なにがなんだか わからなくなってそう。

すこし クラゲが うらやましくなってきました。
ねこも いつか ぷかぷか くらしてみたいです。

白ゆき姫殺人事件

頭の中での創作も、誰かに語った瞬間に、真実にすり替わっているんだからな

「わたし、このあいだの飲み会のあと、いきなり誰々に、ごめん俺、彼女いるんだ、って言われちゃって。はあ、何ですか?わたしがいつあなたのことを好きって言いました?って気分」
「うわ、自意識過剰。あの人ってそういうところあるよね。たいしてかっこよくないのに勘違いしてるから、ちょっとこっちが親切にしてあげたら、気があるってすぐに思い込んじゃうのよ。気持ち悪い」
「目が合っただけで、その気になってたりして。ギャハハハハ……」
 こういう会話聞くと、明日は我が身って思うだろ。俺はその誰々と親しかったから、あとでさぐりを入れてみたんだが、給湯室にいた女から毎晩おやすみメールが届くようになったから、意を決して言ったんだって言われたぞ。
 あんたも、うちの会社の女子社員から今回の事件のことを聞いているだろうが、あいつらの言うことを鵜吞みにしない方がいい。頭の中での創作も、誰かに語った瞬間に、真実にすり替わっているんだからな。

湊かなえ.白ゆき姫殺人事件(集英社文庫)

ねこです。

ねこは わりと ジャンプして いろいろなところを とびうつることが おおいのですが
おねいさんが じょうだんで いった「ねこは そらを とぶれんしゅうを しているんだって」
って はなしから いつのまにか「ねこは そらを とべるらしい」まで
はなしが おおきくなっているみたいなこと よくあります。

そんななか「ねこちゃん そら とべるんだって?」と おねいさんの ともだちに いわれたときは
どんなかおすれば よいのでしょう。
ここはひとつ 「とべますとも!」と そらを とんでるかんを だしたほうがよいのか
それとも「いえいえ そんな」と さがったほうがよいのか
じっさいには とべない ねこには よくわかりませぬ。

でも もしかしたら ほんとうに そらを とべるように なってるかも
なんて ちょっと おもってみて だれも みていないところで とんでみますが
やっぱり とべません。
モモンガが とぶすがたをみると ねこでも いけそうなかんじがするんですけどね。

しんじれば いつか かなうともいいますが
べつに ねこは そらを とびたいわけではないので
いったん いまのままで よいです。

猫を処方いたします。2

誰かに言うてほしいことは、自分で言うのが一番早いです

 お兄ちゃん。
 そう言いかけて、かろうじて喉を塞ぐ。驚愕のあまり頰がひきつった。
 似ているなんてものじゃない。目の前の男性は兄の友弥に瓜二つだ。
 これでは翔祐が間違うのも無理はない。輪郭、顔立ち、肌の質感や色、おまけに声までそっくりだ。
 だが、違う。表情は兄のそれとは違う。友弥はこんなふうにヘラヘラ笑わないし、喋り方もなんだか年寄り臭い。ついさっき家で会ったばかりなので、余計に違いがはっきりわかる。確実に別人だ。
 それでもあまりにそっくりなので気味が悪い。腰の引けた玲央奈に、医者が言う。
「あれ?どうしはりましたか。なんか頰っぺたがプクプクしてはりますけど」
「ピクピクしてるんです」と、咄嗟に言い返す。友弥と同じ顔で軽口を叩かれることに苛つく。
 「あはは。そうですか。国枝さんのほうは、どうでした?誰かが、もうやめたらええって言うてくれはりましたか?」
「はい」翔祐は頷いた。「自分で言いました」
「そうですか。そらよかった。誰かに言うてほしいことは、自分で言うのが一番早いです。的確ですしね。まあ、それが言えへん時には猫の手を借りてください。猫パンチして喝入れてくれますんで。お大事に。さて」

石田祥.猫を処方いたします。2(PHP文芸文庫)

ねこです。

そのむかし LINDBERGってバンドの きみのいちばんに…ってうたのなかで
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ じぶんに いいきかせながら」って かしがあって
おねいさんは なにかあるごとに きいていました。
ほんとうは だれかに いってもらえたら よいのだけど
いってくれるひとが いないときは うたを きくことで なんとかなるものです。

ちなみに おねいさんの スマホの MUSICアプリには 「うえ」という プレイリストがあって
きぶんが あげあげになる きょくを いれています。
げんきが ないとき きぶん あげたいときに このプレイリストを きくというわけです。
それでも きぶんが あがらないときは やっぱり ねこパンチです。
ねこパンチに まさるものなし。
きもち 3%じょうしょうします。
ちいさいけれど だいじなところ。

これからも おねいさんのために ねこパンチ みがいておきます。