月別アーカイブ: 2014年2月

グラスホッパー

隠れているんじゃない。満を持してるんだ

「できれば、先に部屋に入って、待ち構えていてほしいんだと」
「待ち構えて?」
「梶さんは、その相手と部屋で二人きりになるのは、なるべく避けたいんだとよ。部屋に入ったらすぐに、終わりにしてほしいそうだ」
「二人きりになるのが怖い、ってのは、可愛い女しか言っちゃいけない台詞だろうが」
「今時、可愛い女の子、なんていねえよ。見たことあるか?」
「見たことはねえけど、どっかにいるんだろ」
「うるせえな。とにかくな、部屋に二人きりになるのが怖いって台詞は、政治家が口にしてもいいんだよ」
「はいはい」蝉は耳の穴を指で掻く。「政治家は何を言っても、罪には問われないからな」
「とにかく、あのホテルってのは、部屋一つに対して、鍵を二つ用意しているらしいんだよ。カードキーな。だから、おまえはフロントでそのうちの一枚を受け取って、部屋に入って、隠れてるってわけだ」
「隠れるのは好きじゃねえんだって」
「蝉ってのは、七年くらい地面に隠れてるんだろうが」
「隠れているんじゃない。満を持してるんだ」

伊坂幸太郎.グラスホッパー(角川文庫)

ねこです。
「まん を じす」とは じゅうぶん に ようい を して きかい を まつこと らしいです。
ゆき が ふると ねこ は こたつ で まるくなるなんて うたわれますが
あれ も じつ は 「まん を じし」てるんですよ?
おうち の なか で たいりょく を おんぞん しておいて
ゆき の ひ に にわ かけまわって つかれている いぬ たち を しりめ に
はれたら あきち ひとりじめ です。
ねこってば いがい と さくし です。