ワンクリ」カテゴリーアーカイブ

逆ソクラテス

ブタゴリラ君は、そんな綽名をみんなに許している時点で、寛容で、大物だよ

 渋谷亜矢のこと、覚えてますか?と言うと磯憲は少し首をひねり、記憶をたどる顔になった。目立つ存在で、クラスの中心にいた彼女であるから、よく覚えているだろうと思っていたため、その反応は意外だった。しばらくして、「ああ、渋谷亜矢か。厳しい人だったな」と懐かしそうに言う。「実は、渋谷亜矢みたいなタイプの子はいつの時代も、毎年というわけではないけれど、いるんだよ。頭が良くて、口が達者で、リーダーになるような」
「へえ」
「だから、印象がむしろ散漫になっちゃうんだ」
「『ドラえもん』のジャイアンと、『キテレツ大百科』のブタゴリラの区別がつかないような感じですかね」
 磯憲は笑って、「ブタゴリラ君は、そんな綽名をみんなに許している時点で、寛容で、大物だよ」と言う。
「確かに」僕も言ってしまうが、磯憲ははっとして、「それはそれでブタやゴリラに失礼か」と気にした。
「あの時、先生に訊いたのを覚えていますか?」

伊坂幸太郎.逆ソクラテス(集英社文庫)

ねこです。

キテレツ と いったら ブタゴリラ。
ブタゴリラ は かんよう で おおもの です。

“ゴリラとブタゴリラ・どっちがゴリラ”とかいう
なぞ の サブタイトル を ゆるす ふところ の おおきい ブタゴリラ。
“なんでモテるの!?べんぞうさんとブタゴリラ”とかいう
しつれい きわまりない サブタイトル をも きょよう する ブタゴリラ。
“ゲロゲロ!しょうべんこぞうになったブタゴリラ”とかいう
むちゃ な サブタイトル にも かかん に ちょうせん する ブタゴリラ。

もう これは ブタゴリラだいひゃっか と いっても かごん では ありません。

そういえば スイミンぶそく って うた が ありますが
けっきょく どうして こんなに ねむいの って なぞ の まま で おわって ます。
でも ねこ きづきました。

スイミンぶそく の まえ の OP で
ねむれない よる きみ の せい だよ って うた を うたって いるので
スイミンぶそく の げんいん きっと これです!
つまり はじめて の チュウ!
これです!

ねこ も スイミンぶそく に ならない よう
はじめて の チュウ には きをつけて いきたいです。

レモンと殺人鬼

約束、という言葉を進んで使った時、胸がきゅっとした。

「僕はここから見ているだけでいい。それだけで十分に勉強になる」
「そうなの?」
「ああ」
 耳まで赤くなっている。恥ずかしがり屋のようだ。
「料理人が店を持つには経営手腕も大切だ。店構えとか客の出入りとか見ているだけで意味があるんだよ。だから、君のお父さんにも言わないでほしい」
 自分から言い出したことなのに、彼に断られて私はほっとした。何となく、父を含めた家族に彼を見せたくないような気がしてきたのだ。
「わかった。約束する」
 私は小声で言った。約束、という言葉を進んで使った時、胸がきゅっとした。

くわがきあゆ.レモンと殺人鬼(宝島社文庫)

ねこです。

さよなら は わかれ の ことば じゃなくて
ふたたび あう までの とおい やくそく
って やくしまるさん も いってました。

がっこう で まいにち さようなら を いうのは
つぎのひ あう までの やくそく を している ってこと?

こども に とって ほうかご から あさ の とうこう まで
とおい とおい ながい じかん です。

どにち なんて はさんだら それは もう
にどと あえない かも くらい の ながさ。

ちょっと いいすぎ ました。

ところで おとな に なると かえる とき
さよなら じゃ なくて おつかれー って いいます。
なので つぎのひ くるとは かぎらない かのうせい が あります。

もしかして これって ざいたくきんむ じだい ならでは?

……よくかんがえたら ずっとまえから つかわれてました。
ねこ の こうさつ しっぱい。

推し、燃ゆ

午後、電車の座席に座っている人たちがどこか吞気で、のどかに映ることがあるけど、あれはきっと「移動している」っていう安心感に包まれてるからだと思う。

 学校へ行っていた頃、あたしは推しの音楽を聴きながら登校していた。駅へ向かいながら、余裕のある日はゆるいバラード、いそぐ日はアップテンポの新曲を流して歩いた。曲の速さで駅に着くまでの時間がまるっきり変わってくる、歩幅やら、足を運ぶリズムがその曲に支配される。
 自分で自分を支配するのには気力がいる。電車やエスカレーターに乗るようように歌に乗っかって移動させられたほうがずっと楽。午後、電車の座席に座っている人たちがどこか吞気で、のどかに映ることがあるけど、あれはきっと「移動している」っていう安心感に包まれてるからだと思う。自分から動かなくたって自分はちゃんと動いているっていう安堵、だから心やすらかに携帯いじったり、寝たり、できる。何かの待合室だってそう、日差しすら冷たい部屋でコートを着込んで何かを「待っている」という事実は、時々、それだけでほっとできるようなあたたかさをともなう。あれがもし自分の家のソファだったら、自分の体温とにおいの染みた毛布の中だったなら、ゲームしてもうたた寝しても、日が翳っていくのにかかった時間のぶんだけ心のなかに黒っぽい焦りがつのっていく。何もしないでいることが何かをするよりつらいということが、あるのだと思う。

宇佐見りん.推し、燃ゆ(河出文庫)

ねこです。

あさ の つうきんでんしゃ は くうき が どんより。
つうきんラッシュ が すぎる と とたん に くうき が かわります。
おねいさん は ごご の のどかな でんしゃ も すき だけど
つうきんラッシュ の あと の ひにちじょう っぽい でんしゃ も すき なんだって。
あかい でんしゃ に のって みうらはんとう の さき の さき へ いきたくなる。
そんな きぶん。
つうきん と ちがって いかなければならない ばしょ ではない ってところが
ポイント なのかも。
とくに なにも せず ただ でんしゃ に のってる だけ でも いいみたい。

ねこ は つうきん したこと ないけど もし つうきん する ひ が きたら
たまには あかい でんしゃ に のって ひにちじょう あじわいたい です。