君と夏が、鉄塔の上

勝手に他人の気持ちを推し量ってその気になられても、本人からすればいい迷惑な場合もある

 「犬にさー」
 と、不意に比奈山は言い出す。
 「犬にさ、洋服を着せてる人って結構いるよな」
 「え、ああ、そうだね」
 フードを被ったり、レインコートを着ている犬を見たことがある。多分、僕や木島が着ているものよりも高くていい素材の服を着ているのだろうと思うと、少しむなしくなる。
 「ああいうの見てさ、可哀想とか、犬は喜んでないとか言う人いるけど、実際どう思ってるかなんて分からないと思うんだよな。本当に喜んでるかもしれない」
 「まあ、そういう犬も、いるかも」
 「勝手に他人の気持ちを推し量ってその気になられても、本人からすればいい迷惑な場合もある」
 犬に例えるのはどうかな、とは思ったけれど、比奈山の語調は強く、僕は何も言い返すことが出来なかった。

賽助.ディスカヴァー文庫君と夏が、鉄塔の上

ねこです。

なんとなく ネコよりも イヌのほうが ふくを きている きが します。
さいきんは ネコも ようふくというより きぐるみっぽい もの きてるのを
インターネッツじょうで みたり します。

ねこは さむいの にがてなので ようふくも きぐるみも わりと どんとこい ってかんじです。
とはいえ なつは ノーサンキュー。
なつの あついひに きせられたら ねっちゅしょうになったり あせもできたり しそう。

そんなわけで ねこに なにか きせるときは ふゆに おねがいします。
サンタの かっこうも ライオンの かっこうも おもいのまま!

インスタグラムにも わりと きょーりょくてきなので
そのへん よろしくおねがいします。

家庭用事件

母の言葉を借りれば「三回唱えないと動かない」

 一尾一尾の海老の剣先を切り取り一尾一尾の尾の先を切り揃え、さらに尾にたまった水分を一尾一尾しごき出す、という終わりなき単純作業を続けていると、リビングのドア越しに玄関の開く音がかすかに聞こえた。どすどすどすという犀を連想させる足音がそれに続き、ぶわあ、と強烈な風圧をまきおこしつつドアが開くと、制服姿の妹が現れた。手を止めてお帰り、と言っても返事はなく、妹は長い脚で大股に歩いてリビングのカーペットまで到達すると、肩にかけていたバッグをソファの上に投げ出し、そのままうつ伏せに倒れ込んだ。うつ伏せのままぐり、と体を捻り、ただいまと言うかわりに一言「疲れた」と言った。妹は陸上部である。僕と違って運動好きなので、いつも通り暗くなるまで練習していたのだろう。
「そんなとこに寝てると制服、皺になるよ。風呂入ってきなさい」
 言っても妹は動かない。万事につけ雑で基本的にだらしなく、母の言葉を借りれば「三回唱えないと動かない」腰の重い妹である。現に今さっき開けたリビングのドアは全開のままだしその彼方で玄関の閉まる音がようやく聞こえた。

似鳥鶏.家庭用事件市立高校シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

だいじなことは 2かい いいますが
3かい いわないと いけないときも たまには あります。

めめしくて めめしくて めめしくて つらいときも
なんどでも なんどでも なんどでも たちあがり よぶよ
ってかんじで 3かい くりかえすことで こうどうに うつせるわけですよ。

にちようびって あしたに そなえて はやめに ねないとなのに
おやすみが なごりおしくて ついつい ダラダラしてしまいます。
むかしは にちようび おやすみが なごりおしいとき
よどがわさんの さよなら さよなら さよならを きくことで
にちようびの おわりを かんじました。

よどがわさん なきいま ねこが かわりに いうことにします。
さよなら さよなら さよなら。

昨日まで不思議の校舎

だけど、恨まれる人っていうのは大抵、自分がどうして恨まれるのか分かっていないものだよね

「……まいったな」守安君は僕に携帯を返すと、腰に手を当てて首をかしげた。
「当たり前だけど、守安君が犯人だとは思ってない」これは本当のところなので、僕は強調して言った。「ただ、誰かが守安君を犯人にしたがっているかもしれない。心当たりとか、ない?そういうことしそうな人とか。もちろん、ここで聞いたことは秘密にするから」
 守安君は腰に手を当てたまま困り顔で視線を落とした。肌とか目の色が淡いせいか、そうしている時ですらどこか軽やか、というのが不思議である。
「……僕個人としては、特定の誰かに恨みを持たれる覚えはないよ」
 守安君はそう言うと、顔を上げて僕と柳瀬さんを順に見た。「だけど、恨まれる人っていうのは大抵、自分がどうして恨まれるのか分かっていないものだよね」

似鳥鶏.昨日まで不思議の校舎市立高校シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

うらみってやつは ほんとうに こわいです。
いちばん こわいのは たべものの うらみ。
だいじに とっておいた スイーツを たべられたときの うらみは こわいです。
なかでも プリンは たべられがち。
とっておきの プリンであるほど たべられてしまいます。

いちじき おねいさんの まわりで パステルの なめらかプリンが ブームになりました。
おねいさんは とくに なめらかうじまっちゃプリンが おきにいり。
あきずに とろとろ なめらかプリン たべてました。
そして ときはながれ スーパーで パステルの なめらかプリンが かえる じだいに。

そんなわけで もし れいぞうこの なめらかプリン たべられちゃっても
すぐ かいにいけるので うらまれかくりつ だいぶ ひくくなった もよう。
ねこも うっかり おねいさんの プリン たべちゃったとしても あんしんです。