櫛木理宇」タグアーカイブ

悲鳴

他人のために本気で怒れるのは、善人の証だ。

「……もしかして、委員長?」
 元学級委員長だ。
「おう、覚えてくれとったか」
 無遠慮に肩を抱かれた。サチは反射的に、その手を振りはらった。元学級委員長が苦笑する。
「なんじゃあ、そがいにいやがるなや。生娘でもあるまいし」
 サチの顔から、すうと血の気が引いた。
 だがそれを元委員長が悟る前に、ぱぁん、と高い音がした。香子が、元委員長の尻を思いきり叩いたのだ。
「いてえっ。なにしよんじゃ、コッコ」
「あーら、そがいな顔せんでよ。童貞じゃあるまいしぃ」
 彼女の返しに、男たちのテーブルから「ぎゃははは」と笑いが湧いた。
「かなわんなあ」
 元委員長が苦笑し、頭を搔いて離れていく。その背に、さらなる野次が飛ぶ。
「委員長。昔こっそりサチの縦笛舐めとったこと、バレとるでえ」
「いや、バレちょるのはソープ通いじゃろ。手から淋菌が滲み出よるんじゃ。そらぁ女どももいやがるで」
 下品な野次を後目に、「ふん」と香子が頰をゆがめる。
「なーにが元委員長じゃ。昔はサチに挨拶されただけで真っ赤になっちょったくせに、図々しく触りよって」
 汚らしい、と言いたげにおでんの皿をぐいと遠ざける。
「目立つバックができた恵と裕子には、へつらっとるくせによ。けったくそ悪い。その性根がいやらしいっちゅうんじゃ」
 いい子だな。サチは思った。
 コッコはほんとうにいい子だ。他人のために本気で怒れるのは、善人の証だ。

櫛木理宇.悲鳴(新潮文庫)

ねこです。

おこるって エネルギーが ひつようです。
じぶんのために おこることですら エネルギーつかうのに
ひとのために おこるのは なかなか できないことです。

ねこは あんまり おこったりしませんが
しっぽもって ぶんぶん ふりまわされたら おこります。
いや そんなこと されたことないけど。
むかしの アニメで こどもが ぶんぶん ふりまわしてました。
あれは ネコなら みんな おこります。

あとは おみせでかった たいやきが びみょうに ひえひえだと おこります。
おみせでは アツアツであれ。
とくに クリームたいやきは クリームが ゆびにたれて あつッてなるくらい
アツアツであって ほしいものです。

ほかは あんまり おもいうかばないので
ねこも だいぶ まるくなりました。
こころの へいおんを たもつため
たいやきやさんは ぜひとも アツアツで おねがいします。