月別アーカイブ: 2024年7月

秋期限定栗きんとん事件 上

でもカラメリゼを割る瞬間って、いつも禁断の喜びを連想するの

「どうだ」
 声をかける。しかし間が悪く、ちょうどそのときウェイトレスがケーキを持ってきた。白くて丸い小さなカップの表面に、ほどよく焼き色がついた飴が張っている。小佐内は少し身を乗り出して匂いをかぐと、ほっこりした笑顔で呟いた。
「いい香り……」
 視線はクレームブリュレに固定されたまま。もしかしたら、おれが『月報船戸』を並べたことにさえ気づいていないかもしれない。もちろんすぐに記事を読んでほしいが、この瞬間の小佐内は幸せそのもののような顔をするので、こっちを見ろとも言いにくい。
「でもカラメリゼを割る瞬間って、いつも禁断の喜びを連想するの」
 そして小佐内はスプーンを取り上げ、表面の飴を何度かつっつく。やがて、ぱりん、と小さな音を立てて、飴が割れた。ところで小佐内の禁断の喜びとは何だろう。食い逃げとかだろうか。
 最初の一匙を口に運んでも、小佐内は何も言わない。ぼうっとしている。もう一度、
「どうだ」
 と訊くと、はっと意識を取り戻して。なぜか誇らしげに言う。

米澤穂信.秋期限定栗きんとん事件上小市民シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

クレームブリュレ を ちゅうもんする りゆうの 9わり は パリパリを わることです。
これは ぜったい。

おもえば おねいさんは こどものころから わったりするの すきでした。
ふゆの みずたまり に うすく こおり が はっていると かさ で つついて わってました。
すこし みちを ふみはずしていたら まよなか の がっこうで まどガラス わっていたかも。
あぶない ところです。

おとなに なった いまは クレームブリュレの パリパリ わることで
いまのところ まんぞくしていますが
そんな おねいさんの ゆめは にほんしゅの はいった たるを たたく
かがみびらき を やること。
けっこんしきで やるには 10まんえんから15まんえんくらいだって。
けっこうな おねだん。

けっこんまでに 15まんえん ためるため かがみびらきちょきん はじめないと!

夏期限定トロピカルパフェ事件

死にはせんよ

 健吾は店のドアの脇に、腕組みをして仁王立ちしていた。白と青のラガーシャツにカーキ色のパンツ。ラガーシャツというか、健吾が着ると本当にラガーマンみたいだ。口をへの字にして、自転車を停めるぼくを睨んでいる。
「来たか」
「どうも、ご馳走になるよ」
「折角だ、たらふく食っていけ。……行くぞ」
 重々しく言うと腕組みを解き、健吾はドアを押す。途端、
「らっしゃいっ!」
 と掛け声が響いた。厨房の中には白い調理服に身を押し込めた、健吾よりひとまわり大きな髭面の男。男の威勢に負けじと、健吾も声を張り上げる。
「タンメン、激辛大盛二丁!」
「はいよ、タンメン激辛大盛二丁!」
え、激辛って。
「ちょ、健吾、ぼくは激辛は」
 背中をばしんと叩かれた。
「心配するな。舌が死ぬほどは辛くない」
「健吾はそうでも、ぼくはどうかな」
「死にはせんよ」

米澤穂信.夏期限定トロピカルパフェ事件小市民シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

タンメン と タンタンメン と ワンタンメン。
ねこには ちょっと くべつ むずかしい。
やさい たくさん が タンメン
からくて ひきにく のってるのが タンタンメン
ワンタン のってるのが ワンタンメン。

でも げきから な タンメンも あるので
げきから で やさい たくさん が げきからタンメン
げきから で ひきにく のってるのが げきからタンタンメン
げきから で ワンタン のってるのが げきからワンタンメン。

もう ねこ ついていけません。
そのうえ ときたまご はいってる ニュータンタンメン なんてのも あるので
げきから で ときたまご はいってるのが げきからニュータンタンメン。

メン の みち は なかなか に めんどう です。