スターティング・オーヴァー

特に差し迫った用がないとき、どれくらいの速度で歩くかっていうのは、幸せの指標の一つだと思うよ。ほんとにね。

 薄暗い街の中を、ヒイラギはすいすい歩いていく。歩くのが速いんだ。一人でいることに慣れている人間っていうのは、誰かに合わせて歩くことを忘れる上、いつでも「今ここ」に不満を持っていて、「ここにいたくない」と思っているもんだから、歩くのがとても速い
──っていうのが僕の持論さ。
 逆にいえば、「今ここ」に満足している幸福な人間っていうのは、ゆっくり歩くんだ。トキワとツグミなんか、まさにそれだったな。彼らは小突きあったり寄りかかりあったり見つめあったりして、とにかくおそろしくゆっくり歩くから、尾行するのも大変なんだよ。二人でいるだけですでに幸せなもんだから、急いでどこかにいこうとは思わないんだろうな。
 特に差し迫った用がないとき、どれくらいの速度で歩くかっていうのは、幸せの指標の一つだと思うよ。ほんとにね。

三秋縋.スターティング・オーヴァー(メディアワークス文庫)

ねこです。

ねこは さんぽのとき わりと テンポよく あるきます。
けっして げんじょうに まんぞく していないのではなく
いちにち いちにちを めいっぱい たのしむためです。

でも ねこの あるく スピードじゃ いけるはんい ちょっぴりです。
5さいじくらいの かんかく。
ほんとは となりまちまで ずんずん あるいていきたいです。

そのむかし おねいさんは じてんしゃで となりまちまで よく いってました。
あるいては いけないきょりも じてんしゃだと すいすいです。
うらやましい!
ねこも じてんしゃ こげるように なりたいけど たぶん あしが とどかない。
キックボードだったら のれるかな?
いつか キックボードで となりまちまでいく!
あらたな もくひょう できました。

三日間の幸福

あなたが左肩を濡らしていることには、とっても温かい意味がある、ってことです。

 外ではいつの間にか、夏特有の急な大雨が降っていた。濡れるのを覚悟で外に出ようとすると、金髪の店員がビニール傘を貸してくれた。
「あなたが何をしようとしているのかはよく分かんないですけど、何かを成し遂げたいなら、まず健康は欠かせませんからね」
 俺は礼をいい、渡された傘を差し、ミヤギと並んで帰った。小さい傘だったから、二人とも肩がずぶ濡れになった。すれ違う人々が俺を奇異の目で見ていた。傍目には、見当違いな位置に傘を差している馬鹿に映ったに違いない。
「こういうの、好きだなあ」とミヤギが笑った。
「どういうのが好きなんだ?」と俺は訊いた。
「んーと、つまりですね。周りには滑稽に見えるかもしれないけれど、あなたが左肩を濡らしていることには、とっても温かい意味がある、ってことです。そういうのが好きなんです」
「そうか」と俺はいった。少しだけ顔が熱くなった。

三秋 縋. 三日間の幸福 (メディアワークス文庫)

ねこです。

ねこは あめのひは きほんてきに いえに いますが
ひとは かさを さして おでかけすることも あります。

あさ かさを もたずに とうこうして
かえりぎわ あめが ふりだしとき しょうこうぐちで きになってる ひとに
「いっしょに かえらない?」なんて いわれた ひには フラグせいりつ
ってな もんらしいです。
ねこには よく わかんないですけど。

そういえば 4ひきの トラが ぐるぐるまわって バターになる はなし。
あの トラの 1ひきが しっぽで きように かさを さしてた きがします。
ねこも れんしゅうして させるように しておきたいです。
かさが なくて こまってる ひとと いっしょに かえれるように じゅんび はたいせつ。
でも よくかんがえたら ねこの せより ひくい どうぶつしか かさに いれてあげられない。
べつの ほうほう かんがえます。

恋する寄生虫

ときには、他人の目から見えているもののほうが真実に近いということもあるかもしれない

「……ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない?」
──自分には、一生、伴侶と呼べる相手ができないんじゃないか。
──自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。
──自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか。
「私はフタゴムシじゃないから、ときどき、眠りにつく前にそんなことを考えちゃうんだ」佐薙は感情を込めずに淡々と言った。「高坂さんは、こういう気持ち、わかってくれるかな?」
 高坂は深く肯いた。「僕も、似たようなことをしょっちゅう考えるよ。外を歩いていて、いかにも幸福そうな夫婦を見かけたとき、しみじみと思う。『あれは、自分には一生手に入らないものなんだろうな』って。そのたびに、たまらなく悲しい気持ちになる」それから一息置いて、こうつけ加えた。「でも、佐薙がそんなことを考える必要はないと思う。君は僕よりもずっと若いし、聡明だし、はっきり言って見た目もいい。欠点を補って余りあるものを持っている。今のうちから悲観することはないんじゃないかな」
 佐薙はゆっくりと首を振った。「高坂さんは、私のことをよく知らないからそんなことを言えるんだよ」
「そうかもしれない。でも、自分が一番自分のことをよく知っていると思ったら、それも間違いだよ。本人だからこそ見逃している部分もある。ときには、他人の目から見えているもののほうが真実に近いということもあるかもしれない」
「……そうだね。そうだったらいいね」

三秋縋.恋する寄生虫(メディアワークス文庫)

ねこです。

じぶんの ことは じぶんが よくしってるって おもいがちですが
あんがい そうじゃないみたい。
せいかくしんだんとか ちょっとまえに はやった MBTIとか やってみると
いがいな じぶんを しることができたりします。

ねこは じぶんでは いやしけいの ゆるキャラという にんしきですが
もしかしたら たにんからは そうは うつってないのかも。

かんがえれば かんがえるほど わからなくなるし
おねいさんに きいても ふつごうなことは
ごまかされるに きまってる!

ききたいことも きけない こんな よのなかじゃ
と びみょうに かしが ちがう きが しなくも ないですが
たにんに どう おもわれていても
じぶんらしさを もって いきていく
それくらい つよい ねこで ありたいです。