眠れない夜は羊を探して

だからどんな物語も途中で閉じちゃうのはもったいないよ

「最近はどんな本を読んでるの?」
 さすがに心中について調べていたことは隠しておいたほうがいい気がする。僕は近くの本棚にあったものを読んでいると答えてごまかすことにした。
「あ、それ私も昔読んだことある。ちょっと怖い話だよね。でもぜひ最後まで読んでみてほしいな。きっと好きになれるから」
 司書さんは棚に並ぶ本の背表紙を指でなでる。
「本って最後まで読まないと、どうなるのかわからないのが良いところだよね。離ればなれになった王子様とお姫様は、最後には奇跡的に結ばれるのかもしれない。悪い王様も改心するかもしれないし、仲間はずれの魔女には友達ができるかも」
「でも、ハッピーエンドになるとは限らないよ」
「それも最後まで読まないとわからないと思わない?たとえ怖い展開や、つらい出来事が続いたとしても、大逆転でハッピーエンドになるかもしれない。だからどんな物語も途中で閉じちゃうのはもったいないよ」
 司書さんの言葉は、たしかにそのとおりだと思う。物語の続きがどうなるのかは、ページをめくってみるまでわからない。
 そんな簡単なことに、今まで気づかなかった。

遠野海人.眠れない夜は羊を探して(メディアワークス文庫)

ねこです。

ゲームセットまで なにがおこるか わからない。
つまり いま じゅんちょうでも このさき どうなるか わからない。
ぎゃくに いまは ふこうでも きせきの だいぎゃくてんが あるかもってこと。
ものがたりは さいごまで よむべきなのです。

シンデレラだって かぼちゃのばしゃが でてきてから うんめいが うごきだすし
みにくいアヒルのこだって みずべに たどりついて しんじつに きづきますし
シティハンターだって Foot stepsが ながれると けいせいぎゃくてん。

やっぱり さいごまで あきらめちゃ いけないのです。

シュレディンガーのネコも さいごまで あきらめちゃいけません。
なかの ネコが どうなっているかなんて ねこにも わからないのです。
もしかしたら きせきの だいぎゃくてんが おこる かのうせいを しんじて
はこを あけてみたいと おもいます。


ときどき旅に出るカフェ

決めてしまうと、かえって不自由だというのはわかる気がする

「ねえ、来月はどこに行くの?」
 カフェ・ルーズは決まった曜日に休みがない分、月はじめの一週間ほどが休みになる。円はその休みを利用して、旅行に行くという。毎月海外というわけではなく、国内も多いらしいが、その行動力がうらやましい。
 ふいに気づく。瑛子は誰かをうらやましがってばかりいる。結婚して子供がいる友達のことも、瑛子よりも自由で不安定な円のことも。
「まだ決めてないんです。ちょっとお金が厳しいから、今月はお店で新しいメニューでも試作しようかな、と思ってます。行っても近場かな」
「そういうときもあるんだ」
「ありますよ。絶対旅に出ると決めちゃうと、かえって不自由だし、いろいろ見失ってしまう気がするから、決めないようにしてます」
 決めてしまうと、かえって不自由だというのはわかる気がする。
 観たい映画を全部公開中に観なければと思うと、少し息苦しくなるのと同じだ。

近藤史恵.ときどき旅に出るカフェ.株式会社双葉社

ねこです。

いつも これをする みたいに きめること よくあります。
ルーティンって よんだり よばなかったり。

おねいさんは ようびによって ランチを たべる おみせを きめています。
いちど きめてしまうと ラクなのですが きぶんじゃないときも とうぜんあります。
そういうときは しばられずに じゆうに たべたいもの たべます。

まいしゅう おなじようびに おなじみせに いくことによる へいがいも あります。
おみせのひとにも「あのひと げつようびに いつも きてる」みたいに
にんしきされてしまう あやうさ。
「サンデーちょうじ」ならぬ 「マンデーおねいさん」として
おみせでは よばれてるなんてことにも なりかねません。
あぶない あぶない。
うっかり まさかりとうほうで だつさんしん りょうさんするところでした。

ねこも いきつけの たいやきやさんに いくときは
「あのネコ どようびに いつもきてる」みたいに
にんしきされないよう きをつけたいと おもいます。

猫のお告げは樹の下で

自分のいるところが真ん中。自分が本当に思うことが真ん中。自分の中の真ん中。それがこの世界の、真ん中だ。

「これね、ぼくへのお告げなんだって。だからずっと、真ん中に行くにはどうしたらいいんだろうって思ってたけど、やっぱり無理だった。ぼくは端っこがちょうどいいみたいだ。苔だってそうだもの。道路の縁とか、コンクリートの隙間とか、花壇の隅とかね。真ん中って、ぼくにはひどく疲れる」
 姫野先生は「うん」と顎を引いた。それは肯定の「うん」ではなくて、ちょっと立ち止まるような疑問のうなりだった。

「道路の縁を端っこって感じるのは、人間だけじゃないか?苔は自分が地球の中心だって思って生きてるのかも」

 すとん、と何かが心の奥に着地した。ミクジがベンチから降りるときみたいに。
 そうだ。苔はいつも、真ん中にいるんだ。
 自分のいるところが真ん中。自分が本当に思うことが真ん中。自分の中の真ん中。それがこの世界の、真ん中だ。

青山美智子.猫のお告げは樹の下で(宝島社文庫)

ねこです。

ねこの まんなかは せかいの まんなか。
まんまんなかです。
せかいの ちゅうしんで にゃーと さけぶ ねこです。

げんじつ せかいでは エアーロズロックが「ちきゅうの ちゅうしん」と よばれています。
エアーズロックは めちゃくちゃ おおきい 1まいいわですが
じつは せかいで 2ばんめに おおきい 1まいいわ だそう。
2いでも「ちきゅうの ちゅうしん」なのれるので
2いじゃ だめなのか かくにんしたいひとも あんしん。

ちなみに べつめい「ちきゅうのへそ」というんだって。
そう あの ドラゴンクエスト3にでてきた もとネタです。
「ひきかえせ」「ひきかえしたほうがいいぞ」といわれ
ねこは すなおに ひきかえしてました。
あれは どうやら ひきかえしちゃ だめな ごようす。
んな むちゃな。
おんなごころと あきのそらくらい よむの むずかしいです。