あの子の殺人計画

夕焼けで、赤く見えるだけだから

「昨日、あたしの代わりに翔太が教室を掃除してくれたんだよね。ありがとう」
「……椎名が帰っちゃったのは、俺の言い方が悪かったせいだから」
 薄闇に覆われてはいたけれど、翔太の頰がほんのり赤く染まったように見えた。あたしがそれを確かめようとしていることに気づくと、翔太はいままでで一番ぶっきらぼうな口調で言う。
「夕焼けで、赤く見えるだけだから」
「もう夕焼けなんて終わってるよ。もしかして、照れてる?」
「少し」
 あたしが思わず笑うと、翔太の口許も少しだけ緩んだ。
 同い年の子とこんな風に笑い合うのは、たぶん初めてだ。

天祢涼.あの子の殺人計画(文春文庫)

ねこです。

あきになると あかとんぼって イメージですが、
さいきん きづけば あかとんぼ みないです。
なつの あつさが いじょうにつづく さっこん、
あきが みじかくなったからなのかもしれません。

ねこは あかとんぼは ゆうやけに てらされて あかいのだと おもってました。
ねこしらべによると あかとんぼは ゆうやけじゃなくても あかいみたい。
あと あかいからといって とくに 3ばい はやいわけでも ないらしいです。
あかとんぼについて ちょっと くわしくなりました。

ねこは ゆうやけをみると ちょっぴり なみだが でてきます。
あかい ゆうひが まぶしいからでは なさそうです。
なんとなく おもいだせそうで おもいだせない、
きおくの おくそこに ひっかかる なにかが あるのかもしれません。

おもいだせないのは ざんねんですが、
これからも ねこは つよく いきていきたいです。

眠れない夜は羊を探して

だからどんな物語も途中で閉じちゃうのはもったいないよ

「最近はどんな本を読んでるの?」
 さすがに心中について調べていたことは隠しておいたほうがいい気がする。僕は近くの本棚にあったものを読んでいると答えてごまかすことにした。
「あ、それ私も昔読んだことある。ちょっと怖い話だよね。でもぜひ最後まで読んでみてほしいな。きっと好きになれるから」
 司書さんは棚に並ぶ本の背表紙を指でなでる。
「本って最後まで読まないと、どうなるのかわからないのが良いところだよね。離ればなれになった王子様とお姫様は、最後には奇跡的に結ばれるのかもしれない。悪い王様も改心するかもしれないし、仲間はずれの魔女には友達ができるかも」
「でも、ハッピーエンドになるとは限らないよ」
「それも最後まで読まないとわからないと思わない?たとえ怖い展開や、つらい出来事が続いたとしても、大逆転でハッピーエンドになるかもしれない。だからどんな物語も途中で閉じちゃうのはもったいないよ」
 司書さんの言葉は、たしかにそのとおりだと思う。物語の続きがどうなるのかは、ページをめくってみるまでわからない。
 そんな簡単なことに、今まで気づかなかった。

遠野海人.眠れない夜は羊を探して(メディアワークス文庫)

ねこです。

ゲームセットまで なにがおこるか わからない。
つまり いま じゅんちょうでも このさき どうなるか わからない。
ぎゃくに いまは ふこうでも きせきの だいぎゃくてんが あるかもってこと。
ものがたりは さいごまで よむべきなのです。

シンデレラだって かぼちゃのばしゃが でてきてから うんめいが うごきだすし
みにくいアヒルのこだって みずべに たどりついて しんじつに きづきますし
シティハンターだって Foot stepsが ながれると けいせいぎゃくてん。

やっぱり さいごまで あきらめちゃ いけないのです。

シュレディンガーのネコも さいごまで あきらめちゃいけません。
なかの ネコが どうなっているかなんて ねこにも わからないのです。
もしかしたら きせきの だいぎゃくてんが おこる かのうせいを しんじて
はこを あけてみたいと おもいます。


ときどき旅に出るカフェ

決めてしまうと、かえって不自由だというのはわかる気がする

「ねえ、来月はどこに行くの?」
 カフェ・ルーズは決まった曜日に休みがない分、月はじめの一週間ほどが休みになる。円はその休みを利用して、旅行に行くという。毎月海外というわけではなく、国内も多いらしいが、その行動力がうらやましい。
 ふいに気づく。瑛子は誰かをうらやましがってばかりいる。結婚して子供がいる友達のことも、瑛子よりも自由で不安定な円のことも。
「まだ決めてないんです。ちょっとお金が厳しいから、今月はお店で新しいメニューでも試作しようかな、と思ってます。行っても近場かな」
「そういうときもあるんだ」
「ありますよ。絶対旅に出ると決めちゃうと、かえって不自由だし、いろいろ見失ってしまう気がするから、決めないようにしてます」
 決めてしまうと、かえって不自由だというのはわかる気がする。
 観たい映画を全部公開中に観なければと思うと、少し息苦しくなるのと同じだ。

近藤史恵.ときどき旅に出るカフェ.株式会社双葉社

ねこです。

いつも これをする みたいに きめること よくあります。
ルーティンって よんだり よばなかったり。

おねいさんは ようびによって ランチを たべる おみせを きめています。
いちど きめてしまうと ラクなのですが きぶんじゃないときも とうぜんあります。
そういうときは しばられずに じゆうに たべたいもの たべます。

まいしゅう おなじようびに おなじみせに いくことによる へいがいも あります。
おみせのひとにも「あのひと げつようびに いつも きてる」みたいに
にんしきされてしまう あやうさ。
「サンデーちょうじ」ならぬ 「マンデーおねいさん」として
おみせでは よばれてるなんてことにも なりかねません。
あぶない あぶない。
うっかり まさかりとうほうで だつさんしん りょうさんするところでした。

ねこも いきつけの たいやきやさんに いくときは
「あのネコ どようびに いつもきてる」みたいに
にんしきされないよう きをつけたいと おもいます。