月別アーカイブ: 2023年2月

残り全部バケーション

「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えることにする」

 岡田君が関心を持っていた拷問シーンは、半ば過ぎに登場した。
 いよいよか、と私と岡田君は息を吞み、画面に注目した。手錠で繫がれた主人公が、マッチの火で手を炙られ、バスタブの水に顔を押し付けられたりするのだが、主人公がほとんど無表情で、拷問する側も淡々としているものだから、痛々しさはほとんどなかった。観終えた後、岡田君が、「拷問って大したことないな」と呟いたのは本心だったのだろう。
 きっと、レンタルビデオ店の店員は、小学生が観る拷問場面としてはこの程度がいいと考えたのか、もしくは、岡田君をからかうつもりだったのかもしれない。
「バカンスのことを考えた」
 あの映画の中で、拷問を受けている主人公がそう独白する。岡田君はそれを気に入り、その後で何度か口にした。
「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えることにする」
「バカンスって、夏休みとか?」
「バケーションとも言うんだろうね」
 岡田君が果たして、どういう時に、バカンスやバケーションのことを思い浮かべて、現実逃避をしたくなったのか、私には分からなかった。ただ私もその後の生活で、嫌なことがあると、バカンスのことを想像して、やり過ごした。
「岡田君はひと月か、ふた月かして転校したんだ」

伊坂幸太郎.残り全部バケーション(集英社文庫)

ねこです。

バカンス って いうと やはり なつやすみ を おもいうかべます。

こども の ころ の なつやすみ は 40にち ちかく あって
うっひゃー! 40にち も あそべないよー
って かんじ だったのに おとな に なると なつやすみ めっちゃ みじかい。

バカンス の ほんば フランス では いっかげつ いじょう おやすみ することも おおく
おもいおもい の バカンス を たのしんでる みたい。

にほん の おとな も 40にち も あそべないよー って くらい おやすみ すべき!
でも おねいさん は みなみ の しま で トロピカル せず
40にち の うち 35にち くらい スプラトゥーン やってそう。

ねこ?
ねこ は えのしま で トロピカル したい です。

あれ?えのしま じゃ トロピカル できない?

15歳のテロリスト

唯一、スノードロップだけが自身の色を与えた。その日から、雪は白くなった

「篤人!」走りながら、アズサが口にした。「そういえば、スノードロップって咲いた?」
 耳を疑った。「この状況でなんだよ」
 暢気すぎる、とアズサを睨む。けれど、彼女の目つきは真剣だった。
「だって、もう、会話できなくなるから」
 それはそうかもしれない。
 この後、事態がどう転ぼうと、ボクが逮捕されることは間違いない。留置場に入れられ、鑑別所に入れられ、ボクとアズサが会話するチャンスは一生来ないだろう。
 きっとアズサも分かっているはずだ。
「もうすぐ蕾をつけそう」ボクは答えた。「そんなに聞きたかったの?」
「篤人、スノードロップの伝承には、こんなのがあるよ。雪は本来、無色だった。だから、雪は色を分けてほしいって花々に頼んだけど、皆に断られる。唯一、スノードロップだけが自身の色を与えた。その日から、雪は白くなった」
 彼女は走りながら、よどみなく語った、
 もしかしたら、ずっと用意していたセリフなのかもしれない。

松村涼哉.15歳のテロリスト(メディアワークス文庫)

ねこです。

このまえ とーきょー きんぺん でも ゆき が ふりました。
ゆき が ふる と ほごしょく に なる ので ねこ てき には
ここぞ と ばかり に かつどう したい ところ ですが
あまり の さむさ に かつどう げんかい はやめ。

おねいさん の へや は こたつ ないので
こたつ で まるく なる こと なく ふとん の うえ で まるく なって いました。
ふとん は ふかふか していて あたたたたたかくて さいこう です。
ふとん を はつめい した ひと を ひょーしょー したい くらい。

でも おねいさん は ねながら ふとん を けとばして しまうこと も しばしば。
きっと くろい こころ が あばれている の かも?
おねいさん は もっと とうめい な こころ を もって ほしい です。

罪の余白

人は、遺伝子を残すために生きているのではない。物語を刻むために、生き続けるのだ。

 進化には目的はない、という結論はひどくむなしいものに思えた。命を賭けた失敗が次の世代に活かされないのなら、ただの死に損じゃないか、と憤りすら感じた。頭の中には、首が短いためにエサを採れずにやせ細ったキリンのイメージがあった。
 じゃあ、どうして生きるんだろう。
 安藤は疑問よりも苛立ちを込めて思った。子孫を残すため?だったら子どもを作れない人間は生きている意味がないことになるのか?中学生らしい真剣さで考え続けた。当時は好きな女の子もおらず、自分が結婚して父親になる日が来るとは想像もできなかった。そのうちに別のことに興味が移り、考えるのをやめてしまった。
 けれど今、安藤はその答えがわかったような気がしていた。
 人は、遺伝子を残すために生きているのではない。
 物語を刻むために、生き続けるのだ。
 何が好きで、何が嫌いで、何が怖くて、何が得意で、どんな癖があって、何を考えていて、何をして、何に笑ったか。

芦沢央.罪の余白(角川文庫)

ねこです。

あんぱん の かお を もつ あの せいぎ の みかた も
なんの ため に うまれて なに を して いきる の か
って テレビ の まえ の おともだち に といかけて います。

ねこ は なぜ うまれて きた の だろう。

あんまり かんがえた こと なかった けど
きっと もふもふ を ふりまく ことで せかい に へいわ を もたらす
たぶん そんな しめい を おって いる き が します。

おねいさん は もふもふ してない ので せかいへいわ に こうけん できない!
これは ねこ だけ の とっけん!

がんばって これからも もふもふ を ふりまいて いきたい です。