風に舞いあがるビニールシート

牛丼を通して彼は世界を捉えていたんです

「大学の頃、同じサークルに毎日毎日、牛丼ばかり食べてる先輩がいたんです。彼は本当に牛丼が大好きだったから、なにもかも、世界のすべてを牛丼に置きかえて考えるのがつねでした。当時は牛丼が一杯四百円くらいだったかな。たとえば映画の料金が千六百円って、高いのか安いのか私にはよくわからなかったけど、その先輩にとってはものすごくはっきりしていたんです。千六百円あれば牛丼を四杯食べられる、だからそれは高い、って。よっぽどおもしろい映画でなきゃ牛丼四杯分の価値はない、って。みんなで買物に行って、Tシャツ一枚買おうか迷ったときにも、彼の基準となるのはやっぱり牛丼でした。三千円のTシャツを買うお金があったら、牛丼が七杯食べられる。七杯分の牛丼を犠牲にするだけの価値がそのTシャツにあるのかどうかって、いつもものすごく真剣に、牛丼を通して彼は世界を捉えていたんです」
「バカな男だな」
 浜尻のからいコメントに、恵利子はふっと破顔して、
「ええ、でも私には彼がうらやましかった。だって、牛丼中心のその世界があまりにも断固として、揺らぎがなかったから。私は逆でした。私には彼にとっての牛丼みたいなものがなかったから、なにを基準に生きればいいのかわからなくて、いつも誰かの物差しを借りてばかりいた。恋人とか、友達とか、両親とか、身近な人たちの考えに頼って、ぶらさがって……」

森絵都.風に舞いあがるビニールシート(文春文庫)

ねこです。

ブレる とか ブレない とか ブレンディ とか いわれる さっこん ですが
ゆるがない ぎゅうどん ちゅうしん の けいざいがく かっこいいです。
その むかし に ビッグマックしすう なんてものも はやったそうですが
ねこ は あれですよ たいやき。

1たいやきは150えん。
1えいがかんしょう=12たいやき
1Tシャツ=20たいやき
1ディズニーランド=36たいやき

すごいです。
たいやき たべホーダイ です。
でも 36こ がまんして ディズニーランド いったほうが いいかもです。
ディズニーランド に いくと ついつい ほしくなる キャラクタ の バケツポップコーン ですが
ポップコーン は 6たいやきなので さすが に じっと がまん の こ。
あの バケツポップコーン を ちゅうちょなく かえるように なりたいものです。

陽気なギャングが地球を回す

「僕が世界を閉じ込めているわけ。僕の部屋の壁が世界を囲んでいるんだよ。閉じ込められているのは、僕以外の全員で、外にいるのは僕だけってわけ」

 田中は足が悪い。右足が不自由で引き摺って歩くことしかできない。それが先天的なものなのか、子供の時に遭遇した何らかの事故が原因なのか、久遠は知らなかった。もしかしたら外出嫌いの説明のために、わざわざ自分ででっち上げただけ、という可能性もあった。「田中さんの両親は知ってるのかな?」
「父親はいない。母親だけだ」
「そうか。じゃあ、母親は知っているのかな」
「何を」
「田中さんがやってること」
「知っているだろう?一緒に暮らしているんだから」成瀬が言う。
 田中に会ったことは何度かあったが、マンションを訪れるのは初めてだった。成瀬は十回以上行っているはずだ。
 田中の母親は、保険の勧誘員をしていて日中は外に出ていることがほとんどらしい。田中自身は部屋に閉じこもって生活をしている。
「殻に閉じこもるのは良くない」と以前に成瀬が一度言ったことがあるらしいが、すると田中は、「違うんだよ」と怒ったという。「僕が世界を閉じ込めているわけ。僕の部屋の壁が世界を囲んでいるんだよ。閉じ込められているのは、僕以外の全員で、外にいるのは僕だけってわけ」
 そういう屁理屈にもならない話を偉そうに喋り、人を煙に巻いてしまうところは、響野さんにも通じるところがあるな、と久遠は思う。

伊坂幸太郎.陽気なギャングが地球を回す(祥伝社文庫)

ねこです。

スノードーム は まさに とじこめられた せかい。
いちばめん を きりとって ゆき の まう すがた を いつでも みられるのは ステキ です。
そのなかでも エッフェルとう の スノードーム は かくべつ です。
スノードーム の なか の スノードーム。まさに おうじゃ の ふうかく です。
おねいさん も うっとりさん です。

ねこ は こじんてき に みなとみらい の スノードーム が ほしいです。
ランドマークタワー や クイーンズタワー や コスモクロック や あかレンガそうこ の
たちならぶ なかでの ゆき の まう すがた は よいものです。
ヨコハマラブ な おねいさん も きっと き に いる はず!

こんど ヨコハマ に いったとき は ぜひとも ゲット したいものです。

MOMENT

今の十秒間、君は生きていた。けれど、いつからか、その十秒間、君は死に近づいたと感じるようになる。

「死ぬって」と僕は言った。「どんな感じでしょうね」
 五十嵐さんが僕を振り返り、微笑んだ。
「目をつぶってごらん」
「はい?」
「目」
 五十嵐さんは腕を伸ばし、手を横にして僕の両目を覆った。僕は目をつぶった。何かするのかとも思ったが、五十嵐さんの手は僕の目を覆ったきり動かなかった。どこかで人の歩く音が聞こえた。誰かが喋る声も聞こえた。アナウンスで麻酔科医が呼び出されていた。ストレッチャーを押す音だろうか。金属が擦れ合う音も聞こえた。やがて五十嵐さんの手が離れ、僕は目を開けた。
「どう?」と五十嵐さんは言った。
「どうって言われても」
「今の十秒間、君は生きていた。けれど、いつからか、その十秒間、君は死に近づいたと感じるようになる。そうなったら、もう誰にも死は止められない。君を搦め捕り、その世界に引きずり込むまでね」

本多孝好.MOMENT(集英社文庫)

ねこです。

いきる と いうことは つねに ちゃくじつに いっぽいっぽ シ に ちかづいて いるんだそうです。
こども の ころ シ なんて ジサツ か こうつうじこにでも あわないかぎり そうぞう つかなかった おねいさん も
さいきん は びょうき とか たいちょう とか どろどろち とか
すごく かんがえてます。
とし を とれば とるほど だれか が しぬので
30さいにして ちゅうがくじだい の おなじ がくねん ぜんいん が
そろわないってことも あるかも しれません。

ネコ の せかい は わりと アバウトなので しんでも そのまま 100まんかい いきちゃう ネコ なんてのも います。
いちいち かぞえてられるかって かんじ ですけど
ネコどうし よーく みると あたま の うえ に すうじ が くるくる と まわってたりします。
ちなみに ねこ の あたま の うえには 3 という すうじ が くるくる まわっているみたい。

このまえ おねいさん に「ぜんせのこと おぼえてないの?」って きかれました。

「いえ しらないの。たぶん ねこ は 3ひきめだと おもうから」

って こたえたら がっかり されました。
ほんとのことなのに!