投稿者「fujimineco」のアーカイブ

潔白

ひと手間かける。仕事ってやつだな。

〝日本一の寿司屋〟は、薄野の南端の雑居ビルの四階にあった。清潔な白木の付け台の向こうで、実直そうな初老の主が、せっせと小魚の骨を抜いている。
「親爺、それは何だい?」
 西尾が横柄に訊く。
「鰯の昆布締めで。こいつをさっと炙りましてね」
「旨そうだ、それをくれ」
「へい」
「ふふふ。刺身を酢飯に載っけりゃ寿司ってもんじゃない。ひと手間かける。仕事ってやつだな。それが寿司だ」

青木俊.潔白(幻冬舎文庫)

ねこです。

ひとてま くわえると おいしくなる ふしぎ な まほう。
おねいさん は さいご の さいご に ひとてま かけます。

ぎゅうどんには しちみ を ざっざ と かけ
やきそばには くろこしょう を ごりごり かけ
はかたラーメンには しろごま を しょしょ と かけます。

あーなんてこと。
ひとてまって そういうことじゃ ないらしい。
でも おいしければ オッケーです。

幻夏

人と違っていることをプラスと考えるかマイナスと考えるかは自分次第だ

 相馬は、スクランブルエッグとハムとチーズの熱々のホットサンドを頰張る修司を眺めつつ、二十歳そこそこの目覚ましい回復力に感嘆した。医者の話では頭を打ったことによる後遺症は今のところ見られず、二、三日様子を見て問題がなければ退院して良いという。
「けど、その倉吉って人、相馬とかと一緒に動いたりして大丈夫なのか?」と、修司がとろけるチーズの糸を引きながら尋ねる。
「大丈夫だ。あの人はマイナスをプラスに変える人だから」
「なんだよ、それ」
 相馬は倉吉が屈指症で生まれつき左手の小指と薬指が曲がっていることを話した。
「人と違っていることをプラスと考えるかマイナスと考えるかは自分次第だと言ってた。あの人はそれをバネに頑張って来たんだと思う」
「へぇぇ。っていうか、とりあえず相馬は自分がマイナスだって自覚はあるわけだ」

太田愛.幻夏(角川文庫)

ねこです。

マイナス を プラス にする しこうほう みたいなほん めっちゃ でています。
ちょうしょ と たんしょ は うらがえし なので
マイナス な ことも あるめん から みれば プラスってこと あります。

よくきくのが
しんぱいしょう → しんちょう
おせっかい → めんどうみ が いい
けいかくせい が ない→こうどうりょく が ある

おねいさん の おっちょこちょいちょいちょい な せいかく は
プラスしこう で かんがえると なに に なる?
あんまり しっくり くる プラスしこう うかばないので しらべてみたら
てんしんらんまん
って でました!
おねいさん は てんしんらんまん!

えっと これ プラスで いいのかな?

テッパン

迷うってことは、どっちも捨てがたいってことだから、どっちを選んでも間違いじゃないってことさ。

「祖父さんから聞いた話を一つ教えてやるよ。俺が小さなころ、プラモデルを祖父さんに買ってもらった。何だったか覚えてないけど、二つあるうちのどっちにするか迷ってて、どちらかに決めなきゃならなかった。祖父さんは俺が決めるまで、黙って待ってくれたけど、その帰り道にこう言ってた。『いいか、最初にこっちだ!って思った方を選べ。迷うってことは、どっちでもいいってことだ。人間だって動物だ、いわゆる野性の勘ってのがある。最初にこれだ!って思ったものを選んどけば間違いねぇ。もちろん、迷ったっていいさ。迷うってことは、どっちも捨てがたいってことだから、どっちを選んでも間違いじゃないってことさ。人間ってのは、知らず知らずのうちに良い方を選ぶようにできてんだ。だから、後になって、あの時に違う方を選んでたら……なんて、みっともない後悔だけはするな』ってさ。いい話だろ。で『幸運の女神には前髪しかない。来たと思ったらパッとつかめ。でないと、迷ってる間に行っちまうぞ』だって。前髪しかない女神って、どんな頭してんだよって思った。ちょっと怖いよな……パンクバンドのヴォーカルじゃないんだからさ」

上田健次.テッパン(小学館文庫)

ねこです。

まよったときは どちらにしようかな を やります。
ああいうのって おや や きょうだい だったり
ともだち や ともだち の にいちゃん だったり
まわり の ひと の えいきょう で けいせいされていきます。

おねいさん の まわりでは てん の かみさま の いうとおり の あと
てっぽう うって バンバンバン
もひとつ うって バンバンバン
なのなのなのなのなのなのな

でした。なのなのな おおすぎせつ。

こういうのって ほんのちょっぴり こっち っていうのが あったりして
そっち に なるまで なのなの いいがち。
じはんき で どうじ に おすけど じつは ほんとう に のみたいほう はやく おしてる みたいな。

ほんとう は どちらにすべきか きまっているけど
かみさま の ひとおし が ほしい そんなときの まほうのことば なのかもしれません。