月別アーカイブ: 2012年10月

FINE DAYS

「だから僕らは祈るんです。たった一瞬の光に向けて。その全存在をかけて輝いているたった一瞬の光に向けて」

「流れ星、知ってますか?」
 不意に結城が言った。
「流れ星くらい知ってる」と私は言った。
「流れ星って塵なんです。地球の重力に引かれた小さな塵が地球に向かって落ちてきて、大気圏で摩擦熱で高温になって発光する。それが流れ星なんです」
「雑学講座か。ためになるよ」
 茶化した私に取り合わず、結城は静かに続けた。
「ものすごく広い宇宙の中の取るに足りないような僕らより小さな塵が、たった一度きり、その存在を僕らに示すんです。自分の体を焼き尽くすことで」
 広大な時空間。その一点を占めることしか許されない小さなものたち。その一点を輝かせるために命を差し出せと言われたら、私はどうするだろう?
「切ないな」と私は言った。
「ええ。そして美しい」と結城は言った。「だから僕らは祈るんです。たった一瞬の光に向けて。その全存在をかけて輝いているたった一瞬の光に向けて」

本多孝好.FINEDAYS(角川文庫)

ねこです。

ながれぼし に ねがいごと を すると かなうって ききました。
なぜ かなうのか くわしいことは わからないのですが これは すごいことです。
なんにん の ひと が ねがいごと してるのか わかりませんが
いっしゅん で たくさん の ひと の ねがい を きくことが できる ながれぼし は
しょうとくたいし より えらい き が してきます。

そういえば サンタクロース も せかいじゅう の こどもたち に いちや に して プレゼント を くばるので すごい です。
おてがみ を かいたり おとうさん や おかあさん に サンタさん に ほしいもの を いうだけ で とどけてくれます。
じつは ながれぼし の しょうたい は サンタクロース なのかも。
そう かんがえたら そう と しか おもえなくなってきました。
ねこ は いつも サンタクロース が クリスマス いがい に なに を してるか き に なってたのですよ。

ばばん!サンタクロース の ふくぎょう は ながれぼし でした!(かくしん)
これで かいけつ です。フフフン。

終末のフール

こんなご時世、大事なのは」と杉田は答えた。「常識とか法律じゃなくて」といったん言葉を切り、子供が悪戯を仕掛けるような顔つきになったかと思うと、「いかに愉快に生きるかだ、と」

 兄がどういうつもりで、その案を受け入れたのか理解できなかった。けれど、杉田の家族が提案してきた脱出の方法に、兄は乗った。つまり、俺も乗った。
 浴室で、俺たちは天井を見上げている。杉田の妻と娘は、浴室の外に立っていた。
「うまくいく可能性は低いな」兄は達観した口調だった。
「きっと大丈夫」杉田は目を充血させ、畳んだ段ボールを俺に手渡した。それを持ったまま、この天井裏の通路を這っていけ、ということだった。「このまま、西に行った突き当たりが五〇一号だ。渡部さんには頼んでおいた。渡部さんとお父さんが、荷物を装って、一人ずつ運び出すことになっている」
「その渡部という男は、どうして協力してくれる?」兄が訊ねた。
「渡部さんのお父さんが以前、言っていたんだ。こんなご時世、大事なのは」と杉田は答えた。「常識とか法律じゃなくて」といったん言葉を切り、子供が悪戯を仕掛けるような顔つきになったかと思うと、「いかに愉快に生きるかだ、と」と片眉を上げた。

伊坂幸太郎.終末のフール(集英社文庫)

ねこです。

こんな ごじせい です。
「こーんな じだい や さかい やすぅ うるで~」と いっていた ビックカメラも
あれよあれよ と きゅーしゅーがっぺい して おおきくなり
ユニクロ と ていけい して「ビーックビックビック ビックロロロ」とかいう ゆかい な CM を ながしています。

なので ねこ も ゆかい に いきたいです。
「ジョーシキ」とか「ホーリツ」とか よく わかんないけど
トカゲ つかまえたり へい の うえ を あるいたり ろじうら を かっぽ したい です。

あれ?でも それって ねこ が いつも やってること です。
ああ なんと ねこ は もう ゆかい に いきてました。
ねこ は ただ めのまえ の こと に ねっしん です。

ブラバン

「アホ。誰がやる言うた。貸すだけじゃ。死んだら返せ」

 さらに三十分も経ってから、ようやく辻さんが戻ってきた。ロビィに現れたその姿は、僕が見てきた彼の姿のうち最も神々しかったといえる。右の肩に革のストラップを引っ掛け、左手ではあの愛用のエレキベースのネックを支えていた。僕のなかの無邪気で短絡的な僕が、ほら、やっぱり弾けるんじゃないかと歓声をあげたほどだ。しかしベースのボディを抑えつけている右腕の先には、先刻までと変わらぬシャツの結び目があった。
「他片」テーブルの前に来た彼は、左手だけで軽々と楽器を捧げた。二十五年前の僕が、遠くから近くから、その水面を漂っているような鈍い輝きを見つめ続けた、継ぎ接ぎベースだ。「聞きゃあおまえ、楽器も無いいうじゃないか。俺の後輩が無様なことすな。はあケースも捨ててしもうたが、繫げば音は出るじゃろ。持ってけ」
 僕は起立し、かぶりを振った。「貰えません」
「アホ。誰がやる言うた。貸すだけじゃ。死んだら返せ」

津原泰水.ブラバン(新潮文庫)

ねこです。

「だれ が おまえ に やる と いった。かすだけだ」
って セリフ は しょうせつ に かぎらず ドラマ や まんが でも よく でてきます。
「しんだら かえせ」
の ぶぶんに てれ と せんぱいとしての いげん みたいな ものが みえかくれ していて フフフンって かんじ です。

そういえば ねこ は このまえ おねいさん から あたらしい くびわ を もらいました。
うれしくて よろこんで いたら
「だれ が ねこ に あげる と いったの?かすだけだよ」
と いわれました。
がーん。

でも くびわ を かえした あと おねいさん は あの くびわ を なにに つかうのか……
ねこは き に なって よる も ねむれません。