強いボスは、顔がデカい。
「君の悩みはどっちの派閥に入るかやったね」
石田祥.猫を処方いたします。(PHP文芸文庫)
「はい、そうです!」
青葉は子猫を大事そうに抱いたまま元気よく答えた。医者はうんうんと頷いた。
「簡単です。ボスが強い方の派閥に入ったらええんです。強いボスは、顔がデカい。顔がデカくてエラが張ってるほうについたらええんです」
「エラ?」青葉は眉を寄せる。「エラ?」
「そう。顔の真ん中に目と鼻と口がギュッと詰まってる感じです。どっちのボスが顔デカですか?」「ぷっ……。ええと、レナちゃんのほうが顔がデカいです」
「それやったらレナちゃんについたらええです。さて、副反応もないようやし、もう帰ってもらってもいいでしょ。猫はしまっときましょうか」
医者が手を伸ばした。青葉が渋々といったふうに、猫を渡した。
ねこです。
つよい ボスは かおが でかい。
なんとなく わかるきが します。
じだいげきでも あくだいかんとか かおが でかいほど あくだいかんっぽい。
ちいきの ボスネコも かおが でかいほど ボスネコかん。
しっくりきます。
かいしゃの ボスといえば おつぼねさま。
おつぼねさまも やっぱり かおが でかいほうが しっくりきます。
おねいさんが こがお めざしているのも もしかしたら ボスと まちがわれないため?
すこしずつ おおきくなる かおを どうにか こうにか ちいさくする どりょく……
つまりは おねいさんは ボスに なりかけている……?
そうぞうしたら こわくなってきました。
と、とりあえず ねこは おねいさんに ついていきます!