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残り全部バケーション

「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えることにする」

 岡田君が関心を持っていた拷問シーンは、半ば過ぎに登場した。
 いよいよか、と私と岡田君は息を吞み、画面に注目した。手錠で繫がれた主人公が、マッチの火で手を炙られ、バスタブの水に顔を押し付けられたりするのだが、主人公がほとんど無表情で、拷問する側も淡々としているものだから、痛々しさはほとんどなかった。観終えた後、岡田君が、「拷問って大したことないな」と呟いたのは本心だったのだろう。
 きっと、レンタルビデオ店の店員は、小学生が観る拷問場面としてはこの程度がいいと考えたのか、もしくは、岡田君をからかうつもりだったのかもしれない。
「バカンスのことを考えた」
 あの映画の中で、拷問を受けている主人公がそう独白する。岡田君はそれを気に入り、その後で何度か口にした。
「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えることにする」
「バカンスって、夏休みとか?」
「バケーションとも言うんだろうね」
 岡田君が果たして、どういう時に、バカンスやバケーションのことを思い浮かべて、現実逃避をしたくなったのか、私には分からなかった。ただ私もその後の生活で、嫌なことがあると、バカンスのことを想像して、やり過ごした。
「岡田君はひと月か、ふた月かして転校したんだ」

伊坂幸太郎.残り全部バケーション(集英社文庫)

ねこです。

バカンス って いうと やはり なつやすみ を おもいうかべます。

こども の ころ の なつやすみ は 40にち ちかく あって
うっひゃー! 40にち も あそべないよー
って かんじ だったのに おとな に なると なつやすみ めっちゃ みじかい。

バカンス の ほんば フランス では いっかげつ いじょう おやすみ することも おおく
おもいおもい の バカンス を たのしんでる みたい。

にほん の おとな も 40にち も あそべないよー って くらい おやすみ すべき!
でも おねいさん は みなみ の しま で トロピカル せず
40にち の うち 35にち くらい スプラトゥーン やってそう。

ねこ?
ねこ は えのしま で トロピカル したい です。

あれ?えのしま じゃ トロピカル できない?

シーソーモンスター

昭和のバブル時代のころは、核兵器問題と嫁姑問題と、西武ライオンズが強すぎる問題の三大難問があって

「あなたたちにはぴんと来ないかもしれないけどね、嫁姑問題ってすごいんだから。昭和のバブル時代のころは、核兵器問題と嫁姑問題と、西武ライオンズが強すぎる問題の三大難問があって」
「そうなんですか」鵜呑みにしたわけではないが、尊敬する相手が目の前で喋ってくれている現実が容易には受け止められず、僕はそう言う。
 くだらない冗談だと分かっているのか、中尊寺敦は、はん、と鼻で笑う。
「おばあちゃんはギャグも古臭い」
「そのおばあちゃんに溺れているところを助けてもらったのは、どこの誰なのか」
 中尊寺敦は苦笑し、頭を掻いた。

伊坂幸太郎. シーソーモンスター (中公文庫)

ねこです。

もり かんとく ひきいる せいぶライオンズ は ほんとう に つよすぎ でした。
かくせいざい うたず に ホームラン うとう の ひと や
ホームラン うって いっしゅう して バックちゅう で ホームイン する ひと
いま は つるつる だけど とうじ は トレンディエース の ひと など
それは それは さいきょう でした。

その もり かんとく が そのご ベイスターズ の かんとく に なった とき は
ベイスターズ が つよすぎる もんだい ぼっぱつ か? と おもった の ですが
ぎゃく に おどろく ほど かてなくて ベイスターズ が よわすぎる もんだい が ぼっぱつ。
2ねんめ なんて かいまく から さいかい どくそう。

そのまま いわゆる あんこくじだい に とつにゅう してしまう の でした。

でも へんに ちゅうとはんぱ な じゅんい で のらりくらり してたら
DeNA に みうり しなかった かも なので いま の ベイスターズ が ある のは あるいみ もり かんとく の おかげ かも?

重力ピエロ

気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ、と私は思う。

「今日は午後の授業はないんですか?みんな帰っていますよね」
 ジャージ先生は顔を歪めた。「この落書きが、何かの犯罪の兆候だと言うんですよ。PTAが、ですね。だから今日は子供たちを帰宅させたほうがいい、とそうなったわけですな」
「こんな落書きだけで?」
「ええ、こんな落書きでですよ」
「犯罪なんていつ起きるか分かるはずがないのに」
「まったくそうだと思うんですが、まあ、最近は何と言うか、難しいんですな。事件事件が起きたら大騒ぎになるし、未然に防ごうと神経質なんですな」
「もっと気にすべきことは他にありそうですけどね」
「それこそ子供たちには、感謝し、与え、謝罪する、ということの意味を教えてあげたいですな」ジャージ先生はしみじみと言った。
「そうですな」私はまたしても、口調を真似していた。伝染しやすい喋り方だ。「このあたりに、会社やお店の入ったビルのようなものはありませんか」と質問を続ける。
「会社やお店?」
「曖昧な質問で申し訳ないのですが」
「あの辺にいろいろありますよ」と指を向けてくれたのは、大通りのほうだった。
 礼を言って、自転車のスタンドを外し、跨った。ジャージ先生は子供たちに挨拶をしている。無邪気に、「さようなら」と言っている子供たちは可愛らしかった。気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ、と私は思う。

伊坂幸太郎.重力ピエロ(新潮文庫)

ねこです。

おねいさん いわく おとな に なってから さようならって いう きかい あんまり ないらしい。
さよならは わかれ の ことばじゃ なくて
ふたたび あう ための とおい やくそく
って やくしまるさん も うたってたけど
やっぱり さようならって いわれる と ちょっぴり せつなく そして かなしい。
せんせい は まいにち いわれて かなしくなるのかな?
さようならって いわれたら さんしょううお も かなしむのかな?