サバティカル

でも本気の先に、もう一つの本気があるから

「ねえ、そのときってどんな話をしたの?」
「えーっと……」
 その日のことを、僕は話した。香奈さんは、へえー、などと言いながら、嬉しそうな顔をしている。
「香奈さんもディズニー行ってくればいいじゃないですか。師匠と」
「行かないよー」
 うははは、と笑いながら、僕らはビールを飲んだ。
「あー、今日は、本気だして飲んじゃおうかな」
「え!?今まで本気じゃなかったんですか?」
「いやまあ、本気だけどね。でも本気の先に、もう一つの本気があるから」
「まじですか」
「だって今日、娘はホテルに泊まりだし……、それに梶くんの休暇も、もう終わりでしょ?」
「そうですね」
 僕はビールを飲み干し、立ちあがった。
「ビール買ってきます。お代わり、同じものでいいですか?」

中村航.サバティカル(朝日文庫)

ねこです。

ひとには ほんき の さきに もうひとつ の ほんき が あるらしいです。
よくある ラスボス の だい2けいたい とか
ドラゴンボールの「わたし を おこらせてしまった ようですね」とか
こばやしさちこ の こうはく の いしょう とか
とにかく ほんき の さき の もうひとつ の ほんき は ひとあじ ちがう。

こうやって ならべて みると ボスしか つかえない おくのてっぽいです。

ねこ も ほんき の さき の もうひとつ の ほんき も ひとあじ ちがいます。
なんかこう たてがみ はえてきて ライオンっぽくなるかんじ。
でも どんなとき に もうひとつ の ほんき を だすべきか。
ここぞ と いうときに ださないとです。

「まちなか で ライオンしゅつぼつ」って ニュース が でたときは
ねこ が もうひとつ の ほんき を だしたと おもってください。

水曜日の手紙

大切なのは、頭じゃなくて、心に従って行動すること。

「え?あ、ちょっと考え事してた」
「仕事のこと?」
「うん。まあね」
 するとカッキーは、ぼくから視線を外し、くるくる回すミルのハンドルを見下ろしながら口を開いた。
「少し前に、うちのお店のオーナーの霧子さんが言ってたんだけどね」
「あ、うん……」
「人間っていう生き物は、ちょっと賢すぎるから、ついつい頭で損得ばかりを考えて行動しちゃって、その結果、後悔することが多いんだって」
「…………」
「大切なのは、頭じゃなくて、心に従って行動すること。そうしていれば、物事が上手くいっても失敗しても、後悔することはないんだよって」
 ぞりぞりぞり……。
 カッキーはまだミルを見詰めている。
「心に従って、か……」
「うん。自分の心に耳を傾けて、その感情に素直に従って生きてさえいれば、死ぬときも、きっと晴れやかな気持ちでいられるよって教えてくれたの」
 海風に乗って、挽きたての豆の香りが漂ってきた。

森沢明夫.水曜日の手紙(角川文庫)

ねこです。

ねこ は にんげん ほど かしこくないので
だいたい こころ の おもむくままに こうどう しています。
いわゆる ねこまっしぐら。
そのてん おねいさん は いろいろ かんがえちゃう。
カルビじゃなくて ロース に しておこう とか
これいじょう のんだら よくじつ つらいな とか
しめ の ラーメン は やめておこう とか。

なんだか おねいさん の かんがえること たべることばっかりでした。
でも これこそ こころ の おもむくままに こうどうしたら あぶないやつ。
ねこ も おねいさん を みならって 3かい に 1かいくらい
はんチャーハン がまんします。

まほろ駅前狂騒曲

でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?

「ねえ、多田さん」
 と、ばあちゃんは言った。「あの世ってあるんだろうかねえ」
 多田は言葉に詰まった。多田としては、あの世などないと思っている。死んだら終わりだ。その考えはいつも、震えるほどの寄る辺なさと、清々するような解放感とを多田にもたらす。だが、弱気になっているらしい曽根田のばあちゃんに対し、「ないと思います」と答えるのはためらわれた。ばあちゃんを力づけるような、どんな言葉も持ちあわせていないことが歯がゆかった。
「あの世なんてないよ」
 返答の遅れた多田に代わり、行天が堂々と言い放った。曽根田のばあちゃんは表情を強張らせる。
 言いにくいことを、そんなにズバッと告げなくてもいいだろう。多田は苦々しく思い、
「おい、行天」
 と制そうとした。だが行天は、かまわずに言葉をつづけた。
「でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?」

三浦しをん.まほろ駅前狂騒曲(文春文庫)

ねこです。

ねこ は あのよ とか このよ とか そのよ とか どのよ?って かんじです。
よく きくのは
おじいさん は てんごく へ いきました とか
ペロ は おほしさま に なったのよ とか
きほんてき に そら たかく のぼっていく イメージ です。

ねこ は くも の うえ に いけたらいいなって おもいます。
ふかふか してそうだし わたがしみたいに おいしいかもだし
マリオ の せかいでも くも の うえって だいたい コイン たくさん あるし。
そう かんがえると しぬのも そんなに こわくない きがしてきます。

でも できれば ねこ の こと おぼえていてくれる ひと が いるといいな。
おねいさん は おぼえていて くれるかな?
きのう の おひる も わすれちゃうくらいだし ちょっと しんぱい。