ワンクリ」カテゴリーアーカイブ

ファーストラヴ

人助けしたいやつはたいてい同情できる人間しか助けたがらない。

「お兄さんのこと好きなんだね」
 とだけようやく言った。
「俺が法学部入ったのも、兄貴に言われたからだしね」
 と迦葉が答えたので、さらに驚いた。そんな話は初耳だった。
「まだ兄貴が実家にいた頃さー、よくオセロとか将棋とか二人でやったんだよ。ところが兄貴がめちゃめちゃ弱くてさ。それなのに毎回誘ってくんの。こいついいやつだけど馬鹿だなー、と思いながら、コテンパンに倒してたら、キレるどころか喜んで」
 声が珍しく明るくて、彼にとって一番幸福な思い出なのだと感じた。
「迦葉は頭いいから、医者か弁護士になればいいって。単純だろ。だから俺がつい、人助け興味ねーって言ったらさ。だからいいんだ!ていきなり力説されて」
「どうして?」
「人助けしたいやつはたいてい同情できる人間しか助けたがらない。助けたくない人間まで助けなきゃいけないのが医者と弁護士だ。だから迦葉くらい引いてる人間のほうが向いてるって。正直、兄貴のことはアホだと思ってたから、俺びっくりしちゃってさ。こいつには敵わないかもしれないってそのとき思ったんだよ。でも敵わないのが嬉しかったんだよな。変かもしれないけど」

島本理生.ファーストラヴ(文春文庫)

ねこです。

おいしゃさん と べんごしさん は いらい が あったら
どんなひとでも たすける ひつよう が あります。

ぼうそうしたうえ で じこ を おこしたひと も いちめい を とりとめないとだし
たくさん わるいこと したひとでも べんご する。
しごと と わりきること が ひつようかも。

そのてん アニメ の ヒーロー は ほうしゅう を もらっていないこと が おおいので
じぶん の りょうしん に したがい たすけたいひとだけ たすけます。

ねこ は こまった ひと に たいやき くばる ヒーロー に なりたいです。
あんぱん の ヒーローみたいに かお は あげられないので
たいやき くばる。
あいて に きをつかわせず たいやき うけとってもらうために
まずは えきまえ で ティッシュくばって れんしゅうしたいです。

AX

妻に限らず女性は、いや人間は、と言うべきかもしれないが、とかく、「裏メッセージ」に敏感だ。

家に帰ると克巳が居間にいて、カップラーメンを食べていた。育ちざかりの高校生なのだから、もっと栄養のあるものを食べろ。と兜は言わない。自分が同じ年の頃は、もっといい加減な食生活で、というよりも生活自体が爛れきっていたため、言う資格がないという思いだったが、それ以上に、「カップラーメンなど食べるな」と否定すれば、それはすなわち妻に、「ちゃんとした料理を作れ」とメッセージを発していると受け止められる可能性がある。妻に限らず女性は、いや人間は、と言うべきかもしれないが、とかく、「裏メッセージ」に敏感だ。相手の発した言葉の裏には、別の思惑、嫌味や批判、依頼が込められているのではないか、と推察し、受け止める。おそらく、言葉が最大のコミュニケーション方法となった人間ならではの、生き残るための能力の一つなのだろう。困るのは、こちらが裏メッセージなどまったく込めていないにもかかわらず、嫌味や当てこすりだと解釈されることだ。たまったものではない。そして兜の妻は、表しかないメッセージに裏を見つける天才だった。

伊坂幸太郎.AXアックス(角川文庫)

ねこです。

うらメッセージ は なにやら あんごうめいた ものです。
もう いっしゅ の なぞとき。
ほんね と たてまえ を つかいわける ニッポン の おとなには ひっす な ぎじゅつ。

だいじょーぶ は だいじょーぶじゃない
まえむき に けんとー します は おことわり
いけたら いく は ぜったい に こない

ねこ も このくらい なら あさめしまえ です。
あ あさめしまえ と いっても ほんとう に あさめし の まえでは ないので あしからず。

あさめし と いえば なごや の きっさてんでは コーヒー たのむと パン とか たまご とか ついてくるらしい。
なごや と となりまち ぎりぎり の さかいめ の きっさてん は ちょっと こまる。
ついてくるのか ついてこないのか さあどっち?
めっちゃ ききたいけど ここ は おみせ を しんじて ついてくるに かける!

いいたいことも いえない こんな よのなかじゃ と そりまちさん が なげくのも
いたしかたない じだい なのです。

サバティカル

でも本気の先に、もう一つの本気があるから

「ねえ、そのときってどんな話をしたの?」
「えーっと……」
 その日のことを、僕は話した。香奈さんは、へえー、などと言いながら、嬉しそうな顔をしている。
「香奈さんもディズニー行ってくればいいじゃないですか。師匠と」
「行かないよー」
 うははは、と笑いながら、僕らはビールを飲んだ。
「あー、今日は、本気だして飲んじゃおうかな」
「え!?今まで本気じゃなかったんですか?」
「いやまあ、本気だけどね。でも本気の先に、もう一つの本気があるから」
「まじですか」
「だって今日、娘はホテルに泊まりだし……、それに梶くんの休暇も、もう終わりでしょ?」
「そうですね」
 僕はビールを飲み干し、立ちあがった。
「ビール買ってきます。お代わり、同じものでいいですか?」

中村航.サバティカル(朝日文庫)

ねこです。

ひとには ほんき の さきに もうひとつ の ほんき が あるらしいです。
よくある ラスボス の だい2けいたい とか
ドラゴンボールの「わたし を おこらせてしまった ようですね」とか
こばやしさちこ の こうはく の いしょう とか
とにかく ほんき の さき の もうひとつ の ほんき は ひとあじ ちがう。

こうやって ならべて みると ボスしか つかえない おくのてっぽいです。

ねこ も ほんき の さき の もうひとつ の ほんき も ひとあじ ちがいます。
なんかこう たてがみ はえてきて ライオンっぽくなるかんじ。
でも どんなとき に もうひとつ の ほんき を だすべきか。
ここぞ と いうときに ださないとです。

「まちなか で ライオンしゅつぼつ」って ニュース が でたときは
ねこ が もうひとつ の ほんき を だしたと おもってください。