月別アーカイブ: 2014年4月

まほろ駅前番外地

たしかに、便所見るとわかるんだよね

 岡夫人はようやく真相に気がついた。庭の奥のほうから、謎の液体入りペットボトルペットボトルを持って出てきたらしい助手。助手いわく水分も養分も充分なのに、弱ってしまった椿の木。居心地が悪そうだった多田。
「ごめんなさい。トイレをお貸しするってことを、すっかり忘れてました」
 と岡夫人は言った。
「んー、べつに」
 助手はうまそうに空に向かって煙を吐いた。「多田はどこの家でも、便所は借りないよ。俺はしたくなったら借りちゃうけど、そうすると多田がいやそうな顔するんだよね」
「まあ、どうして?」
「あんまりその家のことを知っちゃうのは、失礼だと思ってるんじゃない」
 助手は弧を描いてカニ歩きした。妙な動きだと思ったが、どうやら風向きの変化に応じて、煙が岡夫人のほうへ流れないよう気づかっているらしい。
「たしかに、便所見るとわかるんだよね」
「なにが?」
「どんな紙使ってるか、掃除してあるか、花が飾ってあったとしたら造花かどうか。そういうところから、そこんちの経済やマメさやセンスや、いろいろが」

三浦しをん.まほろ駅前番外地(文春文庫)

ねこです。

トイレ を みると そのいえ の こと が わかる らしいよ。
おねいさん は こども の ころ いえ は もちろん
えきビル の トイレ や じゅく の トイレ ありとあらゆる トイレ の
トイレットペーパー を さんかく に おること に いのち かけてたって。
どこで しったのか わからないけど つぎから つぎへ と さんかくおり。
あれって「おそうじ おわったよ」の おしらせでも あるので あるいみ めーわく。
ねこ の トイレ は トイレットペーパー ないので おねいさん の いたずらには まどわされませんのだ!