パラレル

携帯電話もノートパソコンも蝶番で折り畳めるというのは利便ではなく、気持ちと動作が連動することを見越してのことではないかと思う。

 誰だろう。結婚式の女か。名刺を渡した覚えはないが。二度読み返して、あの店で働いていた女だと気づき、座り直す。あの店には女店員が二人いた。すごくいい女と、遅刻してきたまあまあの女と。どちらだろうか。いい方の女をかなり気に入っていたのに、顔がよく思い出せない。
 読むうちに、遅刻してきた方だと分かり少し落胆する。店のママにいわれての、誘客のメールかもしれないと思って読むが、かなりゲームに詳しいようである。
 メールのおしまいの方は、もう二年間も新作を発表していないことを心配し、待望する主旨だった。そんな熱心なゲーマー風にもみえなかったのに。時代は変わった。
(チャーンス!)サオリがことあるごとに叫ぶ台詞が脳裏をよぎる。すぐに返事を出すのはがっついているのが見透かされそうで、少し置くことにする。
 もう一通はK社の元後輩の植松から。「また一緒に仕事しましょうよ」と定期的にメールを寄こし、声をかけてくれる。自分が誰かになにかを待望されているということに戸惑いを感じながら、パソコンを閉じる。携帯電話もノートパソコンも蝶番で折り畳めるというのは利便ではなく、気持ちと動作が連動することを見越してのことではないかと思う。

長嶋有.パラレル(文春文庫)

ねこです。

けーたいでんわ も ノートパソコン も おりたたむ と なぜだか ふぅっと いき を はいてしまいます。
おりたたむ その ちょくぜん まで しんけん な まなざし を むけているからなのかも。
そういえば ファンデーションケース も そうです。

ほん も ぱたん と とじるから よみおえたかん が あるので あって
あれ が もし まきもの だったら よみとちゅうでも よみおえても めんどくさいです。
なるほど ほん と いうのは あれで なかなか かんがえられているのかも しれません。

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