投稿者「fujimineco」のアーカイブ

復讐は合法的に

復讐はどこまで行っても、単なる自己満足よ。

「……そうね。確かにアタシも、数え切れないほどの人を不幸にしてきた。そういう意味では、アンタと同類かもしれない」
 そう。弁護士バッジを片手に「合法復讐屋」なんて始めた時から、わかっていた。
 自分が復讐の片棒を担ぐ先で、必ず苦しむ人が生まれる。
 終わらない悲劇の連鎖を生み出す側に、自分は回るのだと。
 とうの昔に通り過ぎたはずの葛藤を懐かしむように笑うと、エリスは顔を上げた。
「でも、覚えておきなさい。『正義の復讐』なんて、どこにも存在しない。復讐はどこまで行っても、単なる自己満足よ。いつか自分にその矛先が向いたとしても、甘んじて受け入れなければならない」
 そう。法の壁を越えようとする者は、いつか必ず撃ち落とされる。壁は正義も悪もなく──助けを求める者を杓子定規に阻むだけ。
 だからこそ、自分は決めたのだ。「知恵」の翼を使い、自ら壁を越えることを。
 正義でも悪でもない──「不和と争いの女神」として。

三日市零.復讐は合法的に(宝島社文庫)

ねこです。

ふくしゅう は じこまんぞく。
ふくしゅう する とき って だいたい ふくしゅう じたい が もくてき。
なので ふくしゅう たっせい すると まんぞく できる って ききました。

がっこう の せんせい は よく
「いいかぁー よしゅう は しなくて いいから ふくしゅう しっかり やっておけよー」
って いってました。
じこまんぞく で ありながら しっかり やっておくべき ふくしゅう。
おねいさん は ふまじめ せいと だったので ふくしゅう しっかり やってませんでした。
つまり じこまんぞく してない!
もしかしたら ほか で じこまんぞく していたから ふくしゅう してなかったのかも。

おもえば がくせいじだい って じこまんぞく の くりかえし。
おとな に なると なかなか じこまんぞく だけでは くらして いけないので
がくせい だけ の とっけん なのかも しれません。
なんか ふくしゅう ちがいっぽいですが じこまんぞく に つながるので あるいみ にたものどうしかも。

水族館の殺人

好きな人の気を引きたかったら何か盗めって

「ねえ津さん、あたしのメモリ知りません?」
「メモリ?」
「USB。赤いやつ。この辺に置いといたんだけど、どっかいっちゃったみたいで」
「これですか」
 津がポケットから赤いUSBメモリを取り出すと、女性は飛びついた。
「あ、これこれ。なんであんたが持ってんのよ!勝手に人のもの盗らないでよ!」
「いやあ、雨宮さんが言ってたんですよ、好きな人の気を引きたかったら何か盗めって」
「何それ、小学生みたいな理屈ね……ていうか津さん、あたしのこと好きなの?」

青崎有吾.水族館の殺人(創元推理文庫)

ねこです。

すきな ひと の き を ひきたかったら なにか ぬすめ。
なかなか に だいたん です。
それくらい だいたん に いかないと だめ なのかも。

でも ぬすむ なら USBメモリ じゃなくて もっと ぐっと くるもの ぬすむ べき。
つまり あれですよ。

やつ は とんでもないもの を ぬすんで いきました。
あなた の こころ です。

これです。
こころ を ぬすまないと。

でも これは さまざまな もの を ぬすんできた ルパン だから こそ。
ねこ は こころ ぬすむ すべ を しらないので
まだまだ しゅぎょうちゅう です。

しあわせの香り 純喫茶トルンカ

空って青いんだなあ……。

 おかしな話だけど、倒れたときに自分の中でずっと燻っていたものが、憑き物が落ちてしまったみたい。心を厚く覆っていた皮が脱皮するようにべろべろっと一枚はがれて、新鮮な自分に生まれ変わった気分。
 とうに限界を迎えていた体が、そうすることで私に教えてくれようとしてたんじゃないか。そんな気さえした。
 宇津井が以前、ふとした会話の中で口にしていたことを思い出す。
「体ってのは、素直なんだよ。悲鳴を上げて、俺たちに必死に教えようとしてくれてるんだ。それに気づかない振りして騙し騙し生活してると、あとで痛いしっぺ返しがくる」
 その通りだ、と思う。
 当たり前だけど、心と体はきっちり繫がっていて、どちらかをおろそかにしているとあとで必ず反動がくる。その当たり前さを忘れて生きていて、あとで後悔するのはほかでもない、自分自身だ。
 皮肉なことに、私はそれでやっと自分とゆっくり向き合う機会を得た。
 空って青いんだなあ……。
 寝転んだまま、ガラス戸の向こうに広がる空を、長いことぼんやり眺めた。
 お昼すぎの空は、淡い水色のグラデーションをつくり、綿菓子のような雲がゆっくり形を変えながら流れていく。雲間から太陽が顔を出したり引っ込めたりするたび、庭に光が満ちたり薄暗くなったりする。いくら見ていても、見飽きることがない。

八木沢里志.しあわせの香り〈新装版〉純喫茶トルンカ<新装版>(徳間文庫)

ねこです。

それでも そら は あおいんです。
むかし の えらい ひと が いってた き が するけど なんか ちがうかも。

おねいさん は こども の ころ まだ ぞうせいちゅう の こうえん に
しのびこんだ こと が あります。
となり の しせつ の へい から のりこえて ちょちょいのちょい。

まだ ゆうぐ が せっち されて おらず
いちめん すなち で こうじようフェンス に かこわれた くうかん。
その すなち に あおむけ に ねころび みあげた あおぞら の あおいこと。
ほんとう に すいこまれそう な かんかく に なったんだって。
いや じっさい ちょっと すいこまれてた せつ あり。

おとな に なると そら を みあげる こと も なく
まいにち が すぎさって いく けど
ときどき ねころんで そら みあげる のも いいかも。
そら に すいこまれる かんかく ねこ も あじわって みたいものです。