投稿者「fujimineco」のアーカイブ

ブロードキャスト

だけど、飛ぼうとしている側は、本当にできるって信じてるんだ。周りを気にしちゃ何もできない。

「ドラマやアニメを好きな人はたくさんいて、俳優や声優や脚本家とか、それらを制作している人にもファンはたくさんいるのに、制作者を目指している人はオタク扱いされるのって、どうしてだろうね?」
 委員長の問いかけに、入学直後の僕なら、わからないと首を横に振ったはずだ。そもそも、僕もオタク扱いする側だった。だけど、ドラマ作りに、真剣に二作品も関わった今なら、別の答え方ができそうな気がする。上手く言えるかどうかは自信がないけれど。
「実際、気持ち悪いんだと思う。ドラマやアニメは好きだけど、自分とは別世界の人たちが作っている、と切り離して考えている人が大半なんじゃないかな。そういう人たちが、身近なところで、特に、自分より劣っていると見下しているヤツが、そこに向かおうとしているのを見ると、無謀なことをしているな、ってあきれてもおかしくないよ。傘をさして屋上から飛び降りようとしているヤツを、眺めているような、感覚かな?」
 僕のぎこちない説明に「なるほどね」と委員長は真面目な顔で頷いてくれている。隣にいる、堀江くんも。僕は続けた。
「だけど、飛ぼうとしている側は、本当にできるって信じてるんだ。周りを気にしちゃ何もできない。憧れの世界に行けるなら、オタクで上等!っていうふうに」

湊かなえ.ブロードキャスト(角川文庫)

ねこです。

よく Xや YouTubeの ショートどうがで
ネコが とびうつるのに しっぱいする どうがが ながれてきます。
あきらかに だめなのもあれば なんで そのきょりで とどかない?って
びっくり するものも。

でも あのネコだって とべると しんじて とんでます。
たとえ そのあとに しっぱいが まっていても、
とばないことには たなの うえには たどりつけないのです。

ねこは いつでも チャレンジャー。
しっぱいなんて きに しません。

あこがれの たなの うえに いけるなら
ネコじょうとう!って きもちです。
もしかしたら ネコって そういう いきものなのかも?

黒牢城

弓と馬が武士の表道具ならば、裏の道具は勘と運であろう

「摂州様。牢の中からひとを殺すというのは、存外、難しいことではござらぬな」
 村重は、刀の柄に手を置いたままである。
「殺したのは儂じゃ。おぬしは儂を道具にしたと言うか」
 官兵衛は答えなかった。
 村重は暫時、迷った。村重は屈強の武者で、智謀の士でもある。だがかれは、おのれが摂津国主にまで上ったのは、誰よりも勘がよかったからだと考えている。弓と馬が武士の表道具ならば、裏の道具は勘と運であろう。その勘はいま、ここですぐに官兵衛を殺せと告げている。

米澤穂信.黒牢城(角川文庫)

ねこです。

つめと ねこパンチが おもての どうぐなら
うらの どうぐは きゅうかくと きびんさです。
きほんてきに おもての どうぐも ひけびらかしたり しませんが
うらの どうぐは だれにも ないしょです。

うらの どうぐ じつは べんりです。
するどい きゅうかくで おいしい においや あやしい においを かぎわけます。
とくに おいしい においは とくいぶんや!
そして おいしい においの ときは シュシュッと きびんさで ちかよります。
ねらった えものは にがさない しんしゅつきぼつの なんとやら です。
あやしい においの ときは はらりと ひるがえし
そのばから たちさります。
にげあしの はやいやつだぜって いわれること かずしれず。

うらの どうぐ けっこう だいじなので
これからも みがきつづけたいです。

いまさら翼といわれても

きつい思いをした後に誰かが迎えに来てくれるのは嬉しいものだ

「……まあ、来るとは思います」
 毒気を抜かれたように、横手さんはぽかんとした顔つきになった。
「ではなぜ、捜しに行くなどと言うのですか」
 知れたことを。
「きついでしょうから」
「きつい?」
「わかりませんか」
 跡取りがどうのこうのという話はわからないが、あいつの責任感が強いことは俺も知っている。その千反田がいったん乗ったバスを降りて姿を消したというなら、そこにはなにかよほどの理由があるはずだ。その理由を、俺は「気の迷い」とは表現したくない。
 確かに横手さんの言うとおり、あいつは必ず出番に間に合うように現われるだろう。しかしそれは、真っ白な顔で姿を消すだけの理由を、責任感でねじ伏せようと格闘し続けた結果なのだ。逃げ出したい、だけど行かなくては、行かなくてはと自分に言い聞かせて。──きつくないわけがない。
 きつい思いをした後に誰かが迎えに来てくれるのは嬉しいものだ。だったら行ってやるのは、あながち、やらなくてもいいこととは言えないだろう。

米澤穂信.いまさら翼といわれても「古典部」シリーズ(角川文庫)

ねこです。

きつい おもいを したあとに むかえに きてくれるの うれしい、
ちょっと わかります。
なんかこう きもちの メーターが 0になりつつあるときに
むかえに きてもらうことで ぐんと 80くらいまで かいふくする
そんな イメージ。
おむかえって そのために あるといっても かごんではないです。
ねこも パトロールで あまりに とおくに きてしまったときに
へとへとだし さみしいし あまりに きついので
ぜひとも おねいさんに むかえにきて もらいたいものです。

ところで「おむかえ」って「おむすび」っぽくない?
なにか かんけーある?