家庭用事件

母の言葉を借りれば「三回唱えないと動かない」

 一尾一尾の海老の剣先を切り取り一尾一尾の尾の先を切り揃え、さらに尾にたまった水分を一尾一尾しごき出す、という終わりなき単純作業を続けていると、リビングのドア越しに玄関の開く音がかすかに聞こえた。どすどすどすという犀を連想させる足音がそれに続き、ぶわあ、と強烈な風圧をまきおこしつつドアが開くと、制服姿の妹が現れた。手を止めてお帰り、と言っても返事はなく、妹は長い脚で大股に歩いてリビングのカーペットまで到達すると、肩にかけていたバッグをソファの上に投げ出し、そのままうつ伏せに倒れ込んだ。うつ伏せのままぐり、と体を捻り、ただいまと言うかわりに一言「疲れた」と言った。妹は陸上部である。僕と違って運動好きなので、いつも通り暗くなるまで練習していたのだろう。
「そんなとこに寝てると制服、皺になるよ。風呂入ってきなさい」
 言っても妹は動かない。万事につけ雑で基本的にだらしなく、母の言葉を借りれば「三回唱えないと動かない」腰の重い妹である。現に今さっき開けたリビングのドアは全開のままだしその彼方で玄関の閉まる音がようやく聞こえた。

似鳥鶏.家庭用事件市立高校シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

だいじなことは 2かい いいますが
3かい いわないと いけないときも たまには あります。

めめしくて めめしくて めめしくて つらいときも
なんどでも なんどでも なんどでも たちあがり よぶよ
ってかんじで 3かい くりかえすことで こうどうに うつせるわけですよ。

にちようびって あしたに そなえて はやめに ねないとなのに
おやすみが なごりおしくて ついつい ダラダラしてしまいます。
むかしは にちようび おやすみが なごりおしいとき
よどがわさんの さよなら さよなら さよならを きくことで
にちようびの おわりを かんじました。

よどがわさん なきいま ねこが かわりに いうことにします。
さよなら さよなら さよなら。

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