米澤穂信」タグアーカイブ

氷菓

ジョークは即興に限る、禍根を残せば噓になる

「お前、帰ったんじゃなかったのか」
「そのつもりだったんだけど、下からこの部屋を見上げたらホータローが女の子といるのが見えたからさ。さすがの僕も、出歯亀だけは未経験だからね」
 俺はその言い草を、里志から視線を外すことで無視する。これはこいつ流のジョークなのだ。だが、あまりに飄々と言うので、里志の物言いに慣れてない人間は、よくこいつの言うことを本気にしてしまう。
 どうやら千反田もその口のようだ。
「え、え、わたし……」
 さっきまでの静かな態度は消えうせて、面白いくらいにうろたえている。見掛けによらずこの娘は感情表現がストレートらしく、おろおろとなにかを言おうとしては詰まる様は、わたしは現在うろたえていますよと全身で訴えているようだ。見ている分には楽しいが、放っておくわけにもいくまい。
 幸い、里志のジョークを暴くのは簡単だ。一言訊けばいい。
「本気で言ってるのか?」
「まさか、ジョークだよ」
 ほっと千反田から緊張が抜けるのがわかった。里志のモットーは「ジョークは即興に限る、禍根を残せば噓になる」なのだ。

米澤穂信.氷菓「古典部」シリーズ(角川文庫)

ねこです。

ジョークが ジョークとして つたわらないと めんどくさいです。
こいきな ジョークを いえる ひとは すごいと おもいます。
にほんごでは じょーだん なんて いったりもしますが
えいごでも にほんごでも 「じょー」ってはいってる じじつに きづいてしまいました。
ジョーさんとか ジョージマさんとか かんけいしているのかも。

そういえば そのむかし マイケル・ジョーダンさんという バスケットボールのかみさまみたいな ひとが
きゅうに バスケ いんたいして やきゅうに ちょうせんする じょーだんみたいな はなしが ありました。
1ねんかん やきゅうに うちこみ バスケかい そく ふっき。
あれは ジョーダンなりの じょーだんだったのでは?みたいな ダジャレが
にほんじゅうで 32,292かいくらい いわれてました。
ほんとのところは おとうさんとの やくそくだったらしいです。

ジョーダンさん さいきん なにしてるかな?
って おねいさんの エアジョーダンみながら おもいを はせることにします。



冬期限定ボンボンショコラ事件

だったら、できるだけのことをするにはどうしたらいいか、考えればいいじゃないか。

 中学生、か。
 小佐内さんには覚悟と行動力がある。ぼくには、たぶんだけれど、観察力とひらめきがある。だけどぼくたちは中学生だ。結局はその点が、ぼくたちの推理と捜査にとって致命的なハンデとなるんじゃないか?
「……何をいまさら」
 今度は、小佐内さんも振り返らない。
 いまさら、だ。ぼく以外のクラスメートは、そんなことにはとっくに気づいて、引き返していった。ぼくは、たとえぼくが何者であろうとも真実を突き止める、いやむしろ真実を突き止めることによってぼくが何者であるかを証し立てられると考えたからこそ、いまこうして自転車を走らせている。中学生だからできないことがあるのはたしかだとして、高校生には高校生だから、大学生には大学生だから、大人には大人だからできないことがあるに決まっている。だったら、できるだけのことをするにはどうしたらいいか、考えればいいじゃないか。

米澤穂信.冬期限定ボンボンショコラ事件〈小市民〉シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

ねこに できること。
いろいろ かんがえてみたけど あんまり ないかも。

おねいさんの しごとの じゃま とか
おねいさんの ふとん せんりょうしたり とか
おねいさんの ソファで つめといだり とか
ふだんの せいかつに あんまり やくだたないものばかり。
むしろ めいわくこうい はなはだしい。
あの ゆうめい ねこがたロボットみたいに べんりどうぐ だせたら おやくだちなのに。

こういうときは しかくを とるのが いちばんって きいたことが あります。
なにか おやくだちしかくを ゲットすべし。
「ネコ ゆうようしかく」で けんさくしたら でてきました!

ネコの いま もつべき しかく3せん
きのぼりライセンス
せみとり1きゅう
キャットくうちゅう3かいてんけんてい

なんだか おやくだちとは ほどとおい しかく ばかりな きも しますが
なつなので せみとり1きゅう がんばってみます。

巴里マカロンの謎

百円の板チョコを食べてゴディバの方がおいしいだなんて考えるのは滑稽だわ

 中学校の文化祭で出たチーズケーキが、小佐内さんを十全に満足させるというのが納得いかない感じがする。和洋問わず甘いものを好み、自分の足でおいしい店を探し求め、情報収集も怠らない小佐内さんだ。ご予算の都合もあるだろうから世界最高の味を知っているはずとまでは思わないけれど、かなり上等のものは賞味しているに違いない。そうした上々のものを知っていてなお、このニューヨークチーズケーキはおいしいのだろうか?
 質問に込めたそうした意図を、小佐内さんは的確に読み取った。フォークを置き、心なしか居住まいを正して言う。
「小鳩くん。そういうことじゃないの。素敵なパティスリーとお菓子作り同好会を同列に並べて比較するなんて、つまらないことよ。百円の板チョコを食べてゴディバの方がおいしいだなんて考えるのは滑稽だわ」
「そうなのかな……」
「そうよ」
 語気に力がこもる。
「パティスリーはパティスリーにふさわしく、ホームメイドはホームメイドなりに、駄菓子は駄菓子として素敵ならそれでいいのよ。いつだって最高のものを求めるのは求道者っぽくて恰好よく見えるかもしれないけど、実際は何を食べても『あれに比べればね』なんて言っちゃうスノッブに過ぎない」

米澤穂信.巴里マカロンの謎〈小市民〉シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

チーズケーキ おいしいです。
でも いちごの ショートケーキや モンブランと ちがって
チーズケーキだけでは おもいうかべるものが ひとそれぞれ。

こうばしい やきいろの ベイクドチーズケーキ
クリーミーな レアチーズケーキ
ふんわりしょっかん スフレチーズケーキ
ここすうねん あかまるきゅうじょうしょう バスクチーズケーキ

ほかにも クレームダンジュとか こまかく わけると いろいろ あるみたい。

ねこは パティシエの チーズケーキも もちろん すき ですが
ヤマザキの ほっかいどう チーズむしケーキ で じゅうぶん まんぞく。
たいりょうせいさんでも たいりょうせいさんの おいしさが あります。

そういえば きょねん

「北海道チーズ蒸しケーキFAN BOOK ほんものみたいなふわふわぬいぐるみつき」

とかいうのが はんばいされていて 「ほんものみたいなふわふわぬいぐるみ!?」って
こころ おどらせましたが
「いやいや たべられないしー」と へいじょうしんで ぐっと こらえました。

この クオリティ。
やっぱり ちょっと きになります。