森絵都」タグアーカイブ

カラフル

そのとき、子供心に思ったよ。今日と明日はぜんぜんちがう。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って

「小学生のときにさ……」
 ふいに声がして、見ると、早乙女くんも窓の外に目をむけていた。
「おれ、子供のころからわりと、だれとでも仲良くできるほうだったんだけど、どうしてもひとりだけ、苦手なやつがいたんだよ。おなじグループなのに、そいつとだけはうまくしゃべれなくて、ふたりきりになるとしんとしちゃって、気まずくって。そいつもおれとふたりきりになるの避けてたみたいだから、おれ、きらわれてるんだと思ってた。でもある日の放課後、みんなでグランドに残って遊んでたらさ、やけにそいつと気が合うんだ。すごい自然にしゃべれて、げらげら笑いあったりもしちゃって……。なんかおれ、えらいうれしかったんだ。もう大丈夫だ、明日からは仲良くやってけるって。で、つぎの朝、うきうき学校に行ったら、そいつはまたもとの気まずい相手にもどってたわけ」
 へへ、と早乙女くんは乾いた笑い声をたてた。
「そのとき、子供心に思ったよ。今日と明日はぜんぜんちがう。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って」
 ぼくはだまってうなずいた。同意というよりも、そのときの早乙女くんの切なさに共感して。
「もし小林が明日、いきなり前の小林にもどって、おれが近づいたとたん妙に身がまえたりしたら、やっぱりおれ、そういう気分になると思う。かなりさびしいんじゃないかと思うよ」
 でも、と早乙女くんは言った。

森絵都.カラフル(文春文庫)

ねこです。

いっしゅんだけ いきとうごう する あの げんしょう きになります。
なにげなく ほうかご いっしょ に あそんだとき
ぶんかさい で のこって さぎょう しているとき
がっしょうコンクール の れんしゅう で パート わかれたとき

ふだん はなさないのに はなしてみたら なんとなく きがあって
でも もと の せいかつ に もどる と はなさないの は
じつは ちょっと むりして はなしてたのかもって おもう。

あれって りょうしん の じっか に あそび に いったとき
じもと の こ と あそぶ かんかく に にてる。

ちょっぴり よそいき で 100% ふだん の じぶん だせてない かんじ。

あの いっしゅんだけ たのしい なつ を すごした あのこたち
いまごろ なにしてるのかな?って ふと きになったりするけど
おねいさん も ねこ も げんきです。

出会いなおし

年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ。会うたびに知らない顔を見せ、人は立体的になる。

「ナリキヨさーん」
 ナリキヨさんが足を止める。ふりむく。片手をふりあげる。空から蛍光の黄色をスプレーしたように、何もかもがまぶしくてよく見えないけれど、彼が笑っているのはわかる。
 両手で手をふるなんて何年ぶりだろうと思いつつ、私は盛大に二つの手をふりまわした。
「ナリキヨさーん。今度は、一緒に、ごはん食べましょうねーっ」
 蒸した空気の層の向こうで、ナリキヨさんも両手をふっている。
 ああ、年をとるって、面白い。ナリキヨさんとの出会い、別れ、再会、別れ──その一連をおおざっぱに頭でたどり、心の底から私は思った。
 年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ。会うたびに知らない顔を見せ、人は立体的になる。路上のかげろうと同化していくナリキヨさんの後ろ姿を見送りながら、私は泣きたいくらいに強く、面白い、面白いと思いつづけたのだった。

森絵都.出会いなおし(文春文庫)

ねこです。

ねんれい を かさねる と あうのが じつに すうねんぶり なんてことも あります。
みっか あわざれば かつもくして みよ という ことば が ありますが
すうねんぶり に あうとなったら めっちゃ め を こすって
めぐすり さして みないと いけない レベル。

しりつ の ちゅうがく いったり べつ の こうこう いった こ を
えき で みかけたとき しらないあいだ に ギャルか してて
あれ?みまちがいかな?にてるけど……ちょっと こえ かけづらい
って なりがち。
かつもく かつもく。

がくせい じだい は ギャルか くらい で すみますが
おとな に なると けっこん していたり
こども うまれていたり かいしゃ おこしていたり
びっくりど も けたちがい。

おねいさん が いままでで いちばん びっくりしたのは
むかし はたらいていた かいしゃ の ひと が コロナさぎ で
ニュース に なっていたこと。
おねいさん めっちゃ め こすってた。
あれ?これは かつもく と ちがう?

風に舞いあがるビニールシート

牛丼を通して彼は世界を捉えていたんです

「大学の頃、同じサークルに毎日毎日、牛丼ばかり食べてる先輩がいたんです。彼は本当に牛丼が大好きだったから、なにもかも、世界のすべてを牛丼に置きかえて考えるのがつねでした。当時は牛丼が一杯四百円くらいだったかな。たとえば映画の料金が千六百円って、高いのか安いのか私にはよくわからなかったけど、その先輩にとってはものすごくはっきりしていたんです。千六百円あれば牛丼を四杯食べられる、だからそれは高い、って。よっぽどおもしろい映画でなきゃ牛丼四杯分の価値はない、って。みんなで買物に行って、Tシャツ一枚買おうか迷ったときにも、彼の基準となるのはやっぱり牛丼でした。三千円のTシャツを買うお金があったら、牛丼が七杯食べられる。七杯分の牛丼を犠牲にするだけの価値がそのTシャツにあるのかどうかって、いつもものすごく真剣に、牛丼を通して彼は世界を捉えていたんです」
「バカな男だな」
 浜尻のからいコメントに、恵利子はふっと破顔して、
「ええ、でも私には彼がうらやましかった。だって、牛丼中心のその世界があまりにも断固として、揺らぎがなかったから。私は逆でした。私には彼にとっての牛丼みたいなものがなかったから、なにを基準に生きればいいのかわからなくて、いつも誰かの物差しを借りてばかりいた。恋人とか、友達とか、両親とか、身近な人たちの考えに頼って、ぶらさがって……」

森絵都.風に舞いあがるビニールシート(文春文庫)

ねこです。

ブレる とか ブレない とか ブレンディ とか いわれる さっこん ですが
ゆるがない ぎゅうどん ちゅうしん の けいざいがく かっこいいです。
その むかし に ビッグマックしすう なんてものも はやったそうですが
ねこ は あれですよ たいやき。

1たいやきは150えん。
1えいがかんしょう=12たいやき
1Tシャツ=20たいやき
1ディズニーランド=36たいやき

すごいです。
たいやき たべホーダイ です。
でも 36こ がまんして ディズニーランド いったほうが いいかもです。
ディズニーランド に いくと ついつい ほしくなる キャラクタ の バケツポップコーン ですが
ポップコーン は 6たいやきなので さすが に じっと がまん の こ。
あの バケツポップコーン を ちゅうちょなく かえるように なりたいものです。