ワンクリ」カテゴリーアーカイブ

流浪の月

ハイジを観ながら食べるチーズは二倍おいしい

「ほんとに無理だったら言って。すぐテーブルに移動する」
 言いながら蓋を開けると、熱々の蕩けたチーズがかかったピザが現れた。文が目を開く。食欲を刺激された様子にしめしめと思い、乾杯しようとグラスを持った。
「なんの乾杯?」
「ぐうたらなお休みに」
 お母さんが言っていたことをそのまま真似た。文は戸惑ったように、おずおずとグラスを合わせてくる。グラスの中で黄金色の泡がしゅわしゅわとはじける。
「そうだ。ハイジ観なくちゃ」
 レンタルショップの袋を探り、『アルプスの少女ハイジ』を取り出した。これはチーズと最高に相性のいいアニメだ。わたしと文は蕩けて糸を引くチーズピザを食べながらハイジを観た。ハイジを観ながら食べるチーズは二倍おいしい。この現象はなんて呼ぶんだろう。

凪良ゆう.流浪の月(創元文芸文庫)

ねこです。

ハイジ は りょうりアニメでは ないのに チーズ が おいしくなる ふしぎ。
せかいかん で のう に ブースト かけてくる すごい システム。
ただでさえ おいしい ピザ が さらに おいしくなるのは ゆめ の よう。

アニメ は とき に たべたくさせてくるので ちゅうい が ひつよう です。
りょうりアニメ は じゅんび できているので なんとか ふみとどまりますが
ジブリ は だめです。
あれ は とうとつ に やってきます。
もう ぜったい ねらってる。

がけ の うえ の ポニョ の ハムラーメン や
てんくう の しろ ラピュタ の めだまやきトースト
せん と ちひろ の かみかくし の ニガダンゴですら おいしそう。

ねこ は コクリコざかから の コロッケ たべたいです。
ただでさえ コロッケ さくさく ほくほく で おいしいのに
かいぐい の コロッケ は おいしさ 2ばい。

なんと こんなところにも おいしさブーストかけてくる システム はっけん。
おねいさん にも おしえてきます。

観覧車

男は、噓をつくのだ。

 唯は、両手で顔を覆った。嗚咽が、静かな車内に切れ切れに流れる。
 あたしも信じていた。
 貴之は、自分から望んであたしを捨てたのではないと。
 誕生日のプレゼントを楽しみにしていて、と彼は言った!
 だが。
 男は、噓をつくのだ。
 決してついてはならない、噓を。

 雨に濡れてすっかり色の抜けた白い花びらが、どこからか運ばれて来て窓ガラスに貼り付いた。唯の瞳の中で、花びらが静かに流れて、消えていった。

柴田よしき.観覧車(祥伝社文庫)

ねこです。

おとこ は うそ を つく。
うそ を つくと はな が のびる にんぎょう も
おおかみ が くるぞー と うそ つく しょうねん も
おいしいうそ の ちんけんみんさん も おとこでした。
けしからん よのなかです。

うそつき は どろぼう の はじまりって きいたことが あります。
いきつくさき は ルパン。
ねこ は こころ を ぬすむ こいどろぼうなら ちょっと ありだと おもいます。

潔白

ひと手間かける。仕事ってやつだな。

〝日本一の寿司屋〟は、薄野の南端の雑居ビルの四階にあった。清潔な白木の付け台の向こうで、実直そうな初老の主が、せっせと小魚の骨を抜いている。
「親爺、それは何だい?」
 西尾が横柄に訊く。
「鰯の昆布締めで。こいつをさっと炙りましてね」
「旨そうだ、それをくれ」
「へい」
「ふふふ。刺身を酢飯に載っけりゃ寿司ってもんじゃない。ひと手間かける。仕事ってやつだな。それが寿司だ」

青木俊.潔白(幻冬舎文庫)

ねこです。

ひとてま くわえると おいしくなる ふしぎ な まほう。
おねいさん は さいご の さいご に ひとてま かけます。

ぎゅうどんには しちみ を ざっざ と かけ
やきそばには くろこしょう を ごりごり かけ
はかたラーメンには しろごま を しょしょ と かけます。

あーなんてこと。
ひとてまって そういうことじゃ ないらしい。
でも おいしければ オッケーです。