ワンクリ」カテゴリーアーカイブ

蹴りたい背中

人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに。

「速いねえ。いいなあ、悔しいなあ。」
 勝負が終わった後のさわやかな笑顔。全然悔しくなさそうに悔しいと言う。こうやってお互いをおだて合いっこすれば、仲良くはなれなくても、うまいことやっていけるんだろう。でもポニーテールの部員は、当惑したような笑顔のまま、すらっと私のそばを離れた。
「おい、自分に勝った奴をあんまり誉めると、負けぐせがつくぞ。」
 先生が声を飛ばした。
「練習の時にも悔しいと思う気持ちを持つことが大切だ。じゃないと本番でも馴れ合ってしまう。練習で闘志を剥き出しにするやり方を覚えるんだ。」
 先生はくそ真面目な顔で、一生懸命に言う。日頃ぼけていて、一瞬正気に戻ったおじいちゃんを見ているような気持ちになる。
「長谷川は練習を頑張るから、これから伸びるはずだ。」
 力強く言われて、不覚にもじんときた。先生から目をそらしながら、泣きそうになる。やっぱり先生は嫌いだ。
 認めてほしい。許してほしい。櫛にからまった髪の毛を一本一本取り除くように、私の心にからみつく黒い筋を指でつまみ取ってごみ箱に捨ててほしい。
 人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに。

綿矢りさ.蹴りたい背中(河出文庫)

ねこです。

えさ が ほしい。
あそんで ほしい。
なでて ほしい。
ねこ が ひと に してほしいこと たくさん あります。
でも ねこ には おねいさん が なにすると よろこぶ か よく わかりません。
せみ を あげても あんまり よろこばないし
ごきぶり を つかまえても よろこばない です。
こおろぎ とか すずむし なら よろこんでくれるのかな?
そう おもって ほん を よんでいたら ひと が よろこぶこと わかりました!
どうやら くり や マツタケ を げんかん に おいておくと いいみたい!
さっそく とりに いってきます!

死神の精度

「自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりすると、何だか幸せじゃないですか」

「わたし、土日とかいつも暇なんですよ。昨日は嘘をついちゃいました。すみません」彼女は頭を下げた。垂れ下がった前髪が、カフェオレに入るのではないか、と私は心配になる。
「いや」荻原がそこで軽快に言った。「そんなの嘘のうちに入りませんよ
「え?」
「僕の昔観た映画でこう言ってたんです」
 それは一昨日、私に聞かせたのと同じ内容だな、と気づき、種を知っている手品を目撃するような気恥ずかしさに襲われる。
「『誤りと嘘に大した違いはない』って。それから」荻原がそこで間を置き、つづきを口にしようとしたがそれより先に、古川朝美のほうが言葉を発した。
「『微妙な嘘は、ほとんど誤りに近い』ですね」
「あ」と驚いた荻原は一瞬、息を止め、しばらくした後で、「古川さんも」とかろうじて言った。
「ええ、意外に好きなんです、あの映画」と彼女も勢い良くうなずいた。
 そして、まるで二人で示し合わせたかのように、映画の題名を口にすると、その重なり具合にさらに感動したのか、同時に噴き出した。私はただそれを傍観している。「自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりすると、何だか幸せじゃないですか」と言った荻原の言葉が、頭をよぎった。

伊坂幸太郎.死神の精度(文春文庫)

ねこです。

すきな おんがく や すきな えいが や すきな ゆうめいじん が いっしょ だと はなし が もりあがり ます。
どれくらい もりあがるかというと おおもりチャーハン くらい。

チャーハンと いえば ちゅうかりょうりやさん はいったときの かいわでも あらわれます。
「あ なんか チャーハン たべたいねー」
「いいねー」
「じゃあ おおもりチャーハン いっこ たのんで ふたり で わける?」
「そうしよう」
なかよし の しるし です。

じつは ねこ と おねいさん も き が あいます。
おはよう と いうと おはよう と いう
ごはんー と いうと ごはんー と いう
あそぼう と いうと あそぼう と いう
なに これ もしや かねこみすゞさん?

FINE DAYS

「だから僕らは祈るんです。たった一瞬の光に向けて。その全存在をかけて輝いているたった一瞬の光に向けて」

「流れ星、知ってますか?」
 不意に結城が言った。
「流れ星くらい知ってる」と私は言った。
「流れ星って塵なんです。地球の重力に引かれた小さな塵が地球に向かって落ちてきて、大気圏で摩擦熱で高温になって発光する。それが流れ星なんです」
「雑学講座か。ためになるよ」
 茶化した私に取り合わず、結城は静かに続けた。
「ものすごく広い宇宙の中の取るに足りないような僕らより小さな塵が、たった一度きり、その存在を僕らに示すんです。自分の体を焼き尽くすことで」
 広大な時空間。その一点を占めることしか許されない小さなものたち。その一点を輝かせるために命を差し出せと言われたら、私はどうするだろう?
「切ないな」と私は言った。
「ええ。そして美しい」と結城は言った。「だから僕らは祈るんです。たった一瞬の光に向けて。その全存在をかけて輝いているたった一瞬の光に向けて」

本多孝好.FINEDAYS(角川文庫)

ねこです。

ながれぼし に ねがいごと を すると かなうって ききました。
なぜ かなうのか くわしいことは わからないのですが これは すごいことです。
なんにん の ひと が ねがいごと してるのか わかりませんが
いっしゅん で たくさん の ひと の ねがい を きくことが できる ながれぼし は
しょうとくたいし より えらい き が してきます。

そういえば サンタクロース も せかいじゅう の こどもたち に いちや に して プレゼント を くばるので すごい です。
おてがみ を かいたり おとうさん や おかあさん に サンタさん に ほしいもの を いうだけ で とどけてくれます。
じつは ながれぼし の しょうたい は サンタクロース なのかも。
そう かんがえたら そう と しか おもえなくなってきました。
ねこ は いつも サンタクロース が クリスマス いがい に なに を してるか き に なってたのですよ。

ばばん!サンタクロース の ふくぎょう は ながれぼし でした!(かくしん)
これで かいけつ です。フフフン。