母性

愛なんて見えなくて結構。むしろ、見えないからこそ、世の中それなりに成り立っているんだ。

「まあ、確かに、愛なんてのは、説明しにくい言葉だな。りんごやみかんのように、色や形や大きさで表すことができりゃラクだろうよ。近頃の果物には糖度なんていう、甘さを示す数値まで表示されているしな」
「真っ赤で、左右バランスのとれたハート形、両手に抱えきれない大きさで、甘さはマックスの一〇〇、って感じですか?確かに、見えると便利ですね」
「いや、やっぱりダメだ。嫁のハートが年々色あせて、しぼんでいくのがわかるんだぞ。おまけにこっちがしぼんでいくのを見られたら、こっぴどく文句を言われるに決まってる。愛なんて見えなくて結構。むしろ、見えないからこそ、世の中それなりに成り立っているんだ。そう考えてみりゃ、愛能う限り、なんて敢えて口に出す言葉じゃないな。胡散臭さまで漂ってきたぞ。この母親が娘の殺人容疑をかけられていて、弁明のために言ってるなら納得もできるが……。まさか、おまえはその可能性を疑っているのか?」
 くだらないことを並べながら、ふいと核心をついてくる。賢そうなことばかり口にしている人は頭がよく、バカ話ばかりしている人は頭が悪い、と決めつけてはいけないことくらい、小学生ではあるまいし、わかりきったことなのに、やはり、イメージだけで判断していたようだ。

湊かなえ.母性(新潮文庫)

ねこです。

そういえば むかし ロマンシング・サ ガ と いう ゲーム で

あい が アップ!

って ステータス が アップ する しよう でしたが、あれ こそ あい の すうち か では ないですか?

でも なぜ モンスター を たおす と あい が アップ するのか なぞ です。
モンスター を しばけば しばくほど あい が アップ。
モンスター を じあい の せいしん で ビシバシ やらなければ いけないの です。

あっ もしかして「あい の むち」って そういう こと?

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