ワンクリ」カテゴリーアーカイブ

アイネクライネナハトムジーク

ミッキーはしかも、顔色一つ変えないんだぞ

「ややこしい外交問題に発展しちゃってるんだなあ」
「どうすればいいんですかね、課長」
 課長は口を真一文字に結び、唸るような声を上げた。それから、「俺にはどうすりゃいいかなんて分からないけどな、アドバイスできるとしたら」と言った後でビールを一口飲み、さらに焼き鳥にかぶりつき、串を引き抜いた。「この間、俺はな、家族でディズニーランドに行ったんだよ。最近は、ディズニーリゾートっていうのか?女房と娘が好きだからな、ついていった」
「家族思いですね」
「これも外交だ」課長は言う。「で、パレードがあったんだがな、最後、ミッキーマウスがみんなの前を通りながら手を振ってくれたんだ」
「ああ、でしょうね」
「俺は何とはなしに、一緒に合わせて、手を振ってみたんだ。ミッキーが振っている間、ずっと俺も」
「どういうことですか」
「ミッキーはあっちを向いてもこっちを向いても、ずっと手を振ってるんだよ。でな、あれは結構、きついぞ。こうやって、手を振るのはかなりきついんだよ。やってみろよ」
 やってみろよ、と言われて藤間も困惑するが、確かに右手をぶるぶる十秒ほど振っただけでも手首が痛くなった。
「それをあいつはずっとやってんだよ。大したもんだよ。相当、疲れるぞ。あれが仕事だと言ってもな、普通はできねえよ」
「仕事、とか言わないでくださいよ」
「ミッキーはしかも、顔色一つ変えないんだぞ」
「顔色って」藤間は、課長の顔をじっと見る。そこで話題が終わる気配があった。
 慌てて、「課長、その話から何を読み取ればいいんですか」と言う。
「俺に訊くなよ」

伊坂幸太郎.アイネクライネナハトムジーク(幻冬舎文庫)

ねこです。

まいにち パレード で て を ふる ミッキー。
たしかに かおいろ かえる どころか あせ ひとつ かかずに て を ふってます。
さすが みんな の アイドル ミッキー。
まね しろ と いわれても ちょっと むり。
まえ に まねきねこ の まね して て を あげて みたけど
あれも しんどかったくらい ですから。

たぶん めんせつ でも ビル の まどそうじ けいけん している ミッキー は ゆうぐう されそう。
あと もとアイドル みたいに て を ふること が しごと な ミッキーも。
こうしつ や おうしつ も て を ふるので おうぞくミッキー は ゆうぐう されます。
おうじさま は とくに こうとくてん。

そりゃ ミッキーじゃなくて ミッチーでんがな という ツッコミが きこえてきそうです。
だいぶ オチ が わかりやすくて けっこう です。
いや わかい ひと には もしかしたら つたわらないかも。

で この ぶんしょう から なに を よみとれば いんでしょう?

図書館の殺人

怪しい者ではありますが、とにかく気にしないでください

「あなたたちが刑事さんだというのはわかりましたけど……そちらの二人は?」五人分の視線が、警部の隣でかっぱ巻きを頰張っている場違いな少年と、その後ろの柚乃へ注がれた。柚乃は急いで兄の背中に隠れたが、遅かった。まあ当然こうなるだろう。所轄の二人は二階に残してきたので、県警コンビと自分たちだけではますます悪目立ちである。
「あー」仙堂は額に手をやり、「彼は捜査のアドバイザーです。同席させているだけですからお気になさらず」
「まだ子どもに見えるのだけど」
「高校生です。ですが、怪しい者ではありませんから」
「お寿司を食べているように見えるのだけど」
「失礼、訂正します。怪しい者ではありますが、とにかく気にしないでください」

青崎有吾.図書館の殺人裏染シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

あやしい ひと は きになります。
おすし を たべる ひと は あやしい。
えっ そうなの?

でも たしかに スーパー で おすし はんがく に なるまで まってる ひと の
あやしさ は じんじょうじゃないです。
もう まんびきはん つかまえる Gメン より するどい め。

はんがくシール はられた しゅんかん まんびき いじょう に すばやい うごき。
おすし たべる ひと あやしい せつ
あながち まちがって なさそう。

ねこ は トロ が すきなので トロ おなかいっぱい たべたい。
だけど おすし たべると あやしい ねこ に なっちゃう ジレンマ。
スーパーで おすし はんがく に なるまで ぐるぐるまわって けつろん だしたいです。

カラフル

そのとき、子供心に思ったよ。今日と明日はぜんぜんちがう。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って

「小学生のときにさ……」
 ふいに声がして、見ると、早乙女くんも窓の外に目をむけていた。
「おれ、子供のころからわりと、だれとでも仲良くできるほうだったんだけど、どうしてもひとりだけ、苦手なやつがいたんだよ。おなじグループなのに、そいつとだけはうまくしゃべれなくて、ふたりきりになるとしんとしちゃって、気まずくって。そいつもおれとふたりきりになるの避けてたみたいだから、おれ、きらわれてるんだと思ってた。でもある日の放課後、みんなでグランドに残って遊んでたらさ、やけにそいつと気が合うんだ。すごい自然にしゃべれて、げらげら笑いあったりもしちゃって……。なんかおれ、えらいうれしかったんだ。もう大丈夫だ、明日からは仲良くやってけるって。で、つぎの朝、うきうき学校に行ったら、そいつはまたもとの気まずい相手にもどってたわけ」
 へへ、と早乙女くんは乾いた笑い声をたてた。
「そのとき、子供心に思ったよ。今日と明日はぜんぜんちがう。明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って」
 ぼくはだまってうなずいた。同意というよりも、そのときの早乙女くんの切なさに共感して。
「もし小林が明日、いきなり前の小林にもどって、おれが近づいたとたん妙に身がまえたりしたら、やっぱりおれ、そういう気分になると思う。かなりさびしいんじゃないかと思うよ」
 でも、と早乙女くんは言った。

森絵都.カラフル(文春文庫)

ねこです。

いっしゅんだけ いきとうごう する あの げんしょう きになります。
なにげなく ほうかご いっしょ に あそんだとき
ぶんかさい で のこって さぎょう しているとき
がっしょうコンクール の れんしゅう で パート わかれたとき

ふだん はなさないのに はなしてみたら なんとなく きがあって
でも もと の せいかつ に もどる と はなさないの は
じつは ちょっと むりして はなしてたのかもって おもう。

あれって りょうしん の じっか に あそび に いったとき
じもと の こ と あそぶ かんかく に にてる。

ちょっぴり よそいき で 100% ふだん の じぶん だせてない かんじ。

あの いっしゅんだけ たのしい なつ を すごした あのこたち
いまごろ なにしてるのかな?って ふと きになったりするけど
おねいさん も ねこ も げんきです。