投稿者「fujimineco」のアーカイブ

しあわせの香り 純喫茶トルンカ

空って青いんだなあ……。

 おかしな話だけど、倒れたときに自分の中でずっと燻っていたものが、憑き物が落ちてしまったみたい。心を厚く覆っていた皮が脱皮するようにべろべろっと一枚はがれて、新鮮な自分に生まれ変わった気分。
 とうに限界を迎えていた体が、そうすることで私に教えてくれようとしてたんじゃないか。そんな気さえした。
 宇津井が以前、ふとした会話の中で口にしていたことを思い出す。
「体ってのは、素直なんだよ。悲鳴を上げて、俺たちに必死に教えようとしてくれてるんだ。それに気づかない振りして騙し騙し生活してると、あとで痛いしっぺ返しがくる」
 その通りだ、と思う。
 当たり前だけど、心と体はきっちり繫がっていて、どちらかをおろそかにしているとあとで必ず反動がくる。その当たり前さを忘れて生きていて、あとで後悔するのはほかでもない、自分自身だ。
 皮肉なことに、私はそれでやっと自分とゆっくり向き合う機会を得た。
 空って青いんだなあ……。
 寝転んだまま、ガラス戸の向こうに広がる空を、長いことぼんやり眺めた。
 お昼すぎの空は、淡い水色のグラデーションをつくり、綿菓子のような雲がゆっくり形を変えながら流れていく。雲間から太陽が顔を出したり引っ込めたりするたび、庭に光が満ちたり薄暗くなったりする。いくら見ていても、見飽きることがない。

八木沢里志.しあわせの香り〈新装版〉純喫茶トルンカ<新装版>(徳間文庫)

ねこです。

それでも そら は あおいんです。
むかし の えらい ひと が いってた き が するけど なんか ちがうかも。

おねいさん は こども の ころ まだ ぞうせいちゅう の こうえん に
しのびこんだ こと が あります。
となり の しせつ の へい から のりこえて ちょちょいのちょい。

まだ ゆうぐ が せっち されて おらず
いちめん すなち で こうじようフェンス に かこわれた くうかん。
その すなち に あおむけ に ねころび みあげた あおぞら の あおいこと。
ほんとう に すいこまれそう な かんかく に なったんだって。
いや じっさい ちょっと すいこまれてた せつ あり。

おとな に なると そら を みあげる こと も なく
まいにち が すぎさって いく けど
ときどき ねころんで そら みあげる のも いいかも。
そら に すいこまれる かんかく ねこ も あじわって みたいものです。

月曜日の抹茶カフェ

ノリの良さと運の良さは比例する

「…………おうす、飲まれますか」
「おうす?」
「薄茶のことです。一般的に馴染みのある泡立った抹茶のほう。普通に飲みやすいと思います。電話の出方を教えていただいたお礼に、サービスで」
 するとマスターが私に視線をよこし、さらりと言った。
「お茶点てるとこ、見せてもらったら」
「いいんですか?見てみたいです」
 私が身を乗り出すと、若旦那はかすかにうなずく。マスターが新聞をたたみながら笑った。
「いいねぇ。知ってる?”ノリの良さと運の良さは比例する”」
「誰の格言ですか、それ」
「俺」

青山美智子.月曜日の抹茶カフェ(宝島社文庫)

ねこです。

ノリのよさ と うんのよさ は ひれい します。
よのなか だいたい ノリ で うごいている ひと ほど
ラッキー な こと おおい き が します。
おねいさん も なんとなく ノリ で さんか して こうかい した こと より
よかった と おもう こと の ほう が おおい って いってた。
よくわかんない けど ノリ で さんか して たのしければ ラッキー。
そして このうえなく ハッピー。

ノリ で はじめた こと が のちのち べつ の みち に つながって いたり
ほんらい たどりつきたかった ばしょ へ とおまわり しながらも つながっていたり
そういった いみ でも うん なのかも しれません。

ノリ が いい と せかい も ひろがる って いいますし、
ねこ も フットワーク かるく ノリ で いきていきたい です。

夏美のホタル

人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こすんだって

「月が目の錯覚で大きく見えるってことを教えてくれたときにさ──」
「うん……」
「地蔵さん、すごくいいことを言ってくれたんだよ」
「え、地蔵さん、なんて?」
「人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こすんだって。だから、自分と他人をあまり比べない方がいいって」
 夏美は前を向いたまま、静かに月を見詰めていた。
 ぼくは勝手にしゃべり続けた。
「他人と比べちゃうとさ、自分に足りないものばかりに目がいっちゃって、満ち足りているもののことを忘れちゃうんだってさ。俺さ、それって、すごくわかる気がするんだよな」

森沢明夫.夏美のホタル(角川文庫)

ねこです。

となり の しばふ は あおい なんて よく いわれます。
となり の しばふ を みなければ き に ならなかった のに
にんげん って いろいろ くらべたがり。
とくに じぶん が もってない もの だと よけい に め が いく。
こういうのは ないものねだり って いう らしい。

あれ?ないものねだり って ことば みたら
なぜだか チャーハン が たべたく なって きたよ?
れいとうこ の なか には れいとうパスタ は あるけど
れいとうチャーハン は ない。
チャーハンたべたい!チャーハンたべたい!
あー ねこ も ないものねだり しちゃってる。
はんせい します。