シンメトリー 警部補 姫川玲子

見た目はこんなだけど、ヌケてるとこもあるのよ、くらいに思わせといた方がいいんだ

 木暮は何かというと玲子を外に連れ出し、デカは足を使えだとか、用がなくても店舗を覗いて話をし、自分だけの情報網を作り上げろだとか、刑事のイロハを叩き込もうとしてくれた。
「トクさん。こいつ、玲子っていうの。俺の後釜だからさ、ま、仲良くしてやってよ。……けっこう美人だろ?あんま、気は利かねえけど」
 定食屋でも寿司屋でも自動車修理工場でも、とにかく紹介して顔を売ろうとしてくれるのはいいのだが、毎度毎度「気は利かねえけど」と最後に付け加えなくてもいいだろう、とは思っていた。
「木暮さん。あたし、そんなに気が利かないですか」
「ばーか。一々くだらねえことで腹立てるんじゃねえよ。お前みたいな顔で気が利いたら、できすぎで相手は警戒しちまうだろ。見た目はこんなだけど、ヌケてるとこもあるのよ、くらいに思わせといた方がいいんだ」
 口は悪かったが、木暮は玲子をよく褒めてくれた。刑事としての勘は冴えているし、事件の筋を読む目も、人を見る目も確かだ。ただちょっと、女としては気が利かない。いつもそんな評価だった。

誉田哲也.シンメトリー警部補姫川玲子(光文社文庫)

ねこです。

おねいさんは ヌケすぎてて こまります。
ドジで ノロマな かめとまでは いいませんが
ドジっこ はんてい されがち。
むかし めだまやきに しお・こしょうを かけようとして
なにも みずに ショショっと ふったら しおではなく ハイミーで
ふしぎな あじの めだまやきを つくってしまうくらい ヌケています。

あと おねいさんは わりと ちょーしのりなので
すぐ フフフンってなります。
たぶん そういうところも けっかてきに しっぱいにつながって
ヌケているかん あふれてくるとおもうので きをつけたほうがいいと おもいます。

そんな おねいさんでも なんとか せいかつできているので
よのなかの ヌケているひとも あんしんして よいとおもいます。

あなたが殺したのは誰

そういえば、死んだらみんないい人になるってよく言いますよね

 五十嵐善男の家の鍵を受け取り、辞去しようとしたとき、
「お父様はどのような方でしたか?」
 三ツ矢は唐突に質問をした。
「え?父ですか?」
「はい。娘さんから見てお父様はどのような方でしたか?」
「うーん。そうですね」田川好恵は指をあごに添え、ひと呼吸分の沈黙を挟んでから「よくわからない人でした」と真顔で答えた。
「なにがどうわからないのでしょう」
 三ツ矢も真顔で質問を重ねた。
「ほんとは意外といい人だったのかも、っていまになって思ってます。そういえば、死んだらみんないい人になるってよく言いますよね」
 彼女は少し笑ってから続けた。
「うちの父って、わがままだし頑固だし、自分のしたいことしかしない人だったんです。普通のサラリーマンだったんですけど、平日は朝から夜遅くまで働いて、休みの日は遊び歩いて、家族のことなんてほったらかしでしたね。たまに家にいると思ったら、お酒を飲んで酔っ払って絡んでくるし。だから、父のことはずっと嫌いだったし軽蔑してました。でも、母が死んだら父はすっかり変わって」
 そこで言葉を切ると、彼女は人差し指で目尻をぬぐった。
「お母様が亡くなったのはたしか十八年前でしたね」

まさきとしか.あなたが殺したのは誰(小学館文庫)

ねこです。

ひとは しぬと みんな いいひとに なるらしいです。
どんな あくとうでも いいひと。
ねこには よくわかりませんが しご すくわれるかんじ?

ねこは いきているときから いいネコ。
たぶん。
ちゃんと ごはん のこさず たべるし
ちゃんと おトイレは ネコすなのところで するし
ときには ソファで つめとぎ しちゃって おねいさんに おこられたりして
おちこんだりも したけれど ねこは とってもげんきです。

もう これは いいネコを こえて すばらしいネコと いっても
かごんでは ありません。

ところで いいだこって タコがいますが
あれも いいタコなのかな?
ねこみたいに タコすなのところで おトイレする?

ハサミ男

だって、死んだふりをして失敗したら、熊に食われちまうじゃないか

「あのね、自殺未遂者が嫌われる理由はふたつある。ひとつは、自殺未遂によって他人を支配しようとするからだ。別れるくらいなら死んでやる、とか叫んで、剃刀で手首を切ってみせるやつが典型的な例だね。わたしは自殺という普通の人間にはできない行為を試みた。ゆえに他人はわたしの言うことを聞かなければならない。そんな馬鹿げた論理を押しつけようとする」
 医師は椅子の上で背中を反り返らせ、効果を狙って、しばらく間をおいた。
「もうひとつの理由は、自分を特別な存在だと勘違いしているからだ。わたしは自殺という普通の人間にはできない行為を試みたうえに、なんたる天の配剤か、苦痛と死から無事に生還した。何かがわたしに生きろと告げている。ゆえに、わたしは特別な存在なのだ、というわけだ。だから、表情だけは暗く装って、自慢したい気持ちをにじませながら、喜んで自殺未遂体験を語ったりする。頭が悪いとしか言いようがないな。そんなのは天の意思でもなければ、彼ないしは彼女の意思とも無関係、たんなる統計的な偶然にすぎない。たまたま生き残ったから、偶然を必然に取り違えてしまうんだ。熊に出くわしたときの対処法みたいなものだね」
 自殺未遂者と熊になんの関係があるのか、わたしには見当もつかなかった。
「ほら、山のなかで熊に会ったら死んだふりをしろ、とよく言うだろう。昔からそう伝えられている、実際死んだふりをして生きのびた人も数多くいる、とね。そんなのは当然のことだ。だって、死んだふりをして失敗したら、熊に食われちまうじゃないか。わたしは熊の前で死んだふりをしましたが、助かりませんでした、と証言する者はいない。成功例しか報告されないのは当然だよ。自殺の場合も同じさ。自殺に成功した人間は、自分は特別な存在ではありませんでした、とは語らない。なにしろ、もう死んでるんだから」

殊能将之.ハサミ男(講談社文庫)

ねこです。

くまに であったときは しんだふりは げんきんって ききました。
36けい にげるにしかずとは いったものですが
ねこなら いざしらず にんげんの スピードでは おいつかれてしまうもの。
もりのくまさんも「おじょうさん おにげなさい」といいながら
もうスピードで おいかけてくる きょうふの くま。
にんげんは くまには かてない。

さいきんは もりの なかどころか まちの なかでも
くまさんに であってしまうので こまったものです。
あるひ イオンモールのなか くまさんに であってしまうかもなのです。
はなさく モールの みち くまさんに であったなわけです。
もう にげようも ありません。

そこで ねこは ていあん します。
くまに であったら おとしあな、これです。
いかくを しながら おとしあなを ほる。
そして にげる。
すると くまが おいかけてくる。
くまが おとしあなに おちる。
かんぺきです。

じんるいに ひつようなのは スコップだった。
がっかいで はっぴょうしたいとおもいます。