「芦沢央」タグアーカイブ

今だけのあの子

じゃあ、本当に地球が滅亡したらいいですねえ

『ねえ、あなた。これ、本当だったらどうします?』
 わたしが指さしたのは、テレビでやっていた「ノストラダムスの大予言」についての特集番組だった。そう言えば、夫はこういった漠然とした不安はどう解消するのだろうと疑問に思ったのだ。夫は、『本当だったらいいよなあ』とつぶやいた。
『みんな一緒に死ねるなら、こんなに幸せなことはないだろ』
 この人はわたしがいないとダメなんじゃないか、と思えたのは、五十年近く添い遂げてきて初めてのことだったかもしれない。わたしは心が温かくなるのを感じながら答えた。
『じゃあ、本当に地球が滅亡したらいいですねえ』
 けれど、結局夫は七月を待たずに死んでしまい、七月には何も起こらなかった。

芦沢 央.今だけのあの子 (創元推理文庫)

ねこです。

きょうふの だいおうが やってくると いわれていた 1999ねん。
けっきょく だいおうに あうことなく 2026ねんを すごしています。
どんな すがただったのか チラっと みてみたかったです。
ダイオウイカみたいな すごく おおきい イメージだけは もっています。

だいおうといえば むかしむかし つなしまというところに
キングチャイナと よばれる ちゅうかりょうりやが ありました。
その ぜんしんは つけめんだいおうという なまえだったとかで
ふるくから しるひとは だいおうと よんでいました。

おねいさんは わりと ねこじた(にんげんなのに!)なので
つけめんを たべていました。
おそらく はじめての つけめんたいけんは キングチャイナです。

その キングチャイナも さいかいはつで なくなってしまいました。
つまり だいおうを たおしたのは さいかいはつと いうこと?
もしかして ミッキーラーメンを たおしたのも……?

悪いものが、来ませんように

子育てって、もう一度人生を生き直す感じなの

 最近つくづく思うのよね、やっぱり子どもを産むことが女の一番の幸せなんだなって。
 鞠絵も子どもを産んで変わったよね。子育てって、もう一度人生を生き直す感じなの。自分も通った道を辿っているはずなのに、新しい発見がたくさんある。親になることで人間的に成長する部分って大きいよ。
 梨里と紗英の子が遊んでるところを見るのが私の夢なの。どう?そろそろ叶えてくれる気にならない?
 こんなにやりがいがある仕事は他にないんじゃないかと思うの。だって母親っていう存在には代わりがいないでしょう。
 冗談や世間話に交ざりながらも事あるごとに重ねられてきた奈津子の言葉が、頭の中をぐるぐると回る。働いたこともないくせに、どの口が言うの、とかろうじて蔑むように思う。なのにそう思うそばから、虚しさがこみ上げてきてしまう。
 ──だって、わたしは、子どもがほしい。

芦沢央.悪いものが、来ませんように(角川文庫)

ねこです。

じぶんが なしえなかったことを こに たくす
みたいなのを よくみます。
ピアノを ならわせたり やきゅう やらせてみたり
よくわからない こどもの うちから おやの いこうに そって
きづけば いろいろなこと やってたり。
でも こどもは こども。
かならずしも おなじものを すきになるとは かぎらないのです。

おねいさんの きんじょの こに、かいがと、スイミングと、えいかいわを
ならっている こが いましたが、
とうの ほんにん どれも あまり きょうみが ないようで
どれも ちゅうとはんぱに なってました。

おやの こころ こしらず、この こころ おやしらず。

ねこは もし こどもが うまれたら
たいやききょうしつに かよわせて たいやきを じょうずに やけるように なってほしいです。
あ でも こどもが たいやき すきじゃなかったら たいへんです。
しっかり このみを きいてから たいやきにするか いまがわやきにするか かんがえます。

汚れた手をそこで拭かない

長く教師を続けるコツはね、仕事が途中だろうが何だろうが、時間になったら無理やり帰っちゃうことなのよ

「あら、千葉先生、まだいたの」
 真横から声がして、ハッと振り向くと、そこにいたのは図工担当の伊東だった。
 面倒見がよく、情に厚いベテランの伊東は、産休に入った同僚のフォローを買って出て、夏休み中も毎日のように出てきている。
「ダメよ、授業がない日くらい早く帰らないと」
「あの……教頭は」「教頭?もう帰ったけど」
 その言葉に、腹の底で何かが蠢く。後悔なのか安堵なのかは自分でもわからなかった。
「何か用があった?」
「いえ……」
「長く教師を続けるコツはね、仕事が途中だろうが何だろうが、時間になったら無理やり帰っちゃうことなのよ」
 別の教員が「伊東先生は本当にきっぱり切り上げるわよねえ」と笑い交じりに重ねた。

芦沢央.汚れた手をそこで拭かない(文春文庫)

ねこです。
おねいさんの こうこうじだいに じゅぎょうを ちゃんと やらない せんせいが いました。
ちゃんとやらないというのは てきとーに じゅぎょうを しているというわけではなく
50ふんの じゅぎょうじかんのうち 20ふんしか じゅぎょうを やらないのです。
「にんげんの しゅうちゅうりょくなんて 20ふんしか もたないんだ」
と よくいっていましたが いまにしておもうと せんせいの しゅうちゅうりょくが もたないだけでは?
という きも してきます。

そんなわけで のこりの 30ふんを じこがくしゅうにあてるもの、
ほかの きょうかの しゅくだいを はじめるもの、じゅくの べんきょうを するものなど
いるわけもなく、ほとんどの せいとが ねていました。
いや だって せんせいが「のこりの じかん しずかに ねてろ」って いうんだもの。
おねいさんも まじめな せいとだったので せんせいの ことばに したがって
ぐっすり ねていました。
あのとき せんせいは なにをしていたのか まったく おもいだせません。
そして チャイムと どうじに ゆめから さめて
じかんきっかりに ひきあげていく せんせいを みおくるのでした。

たしかに あらかじめ じゅぎょうを おわらせておくと チャイムがなったら そく じゅぎょうを おわれる。
いま おもうと ながく きょうしを つづける コツを じっせんしていたのかも。
はたらきかたかいかくを ひとあしさきに とりいれていた せんけんのめい。
さすがです。