5人のジュンコ

たぶん、それを人は「情」と呼ぶのだろう。

「まあ、俺も歳だし」
 夫はことあるごとにそう言い訳するが、こうなると年齢のせいばかりじゃない。要するに不摂生が原因なのだ。せっかく素晴らしい遺伝子を持って生まれたのに。これほどの宝の持ち腐れがあるだろうか。
 結婚するときに、契約しておくんだった。必要以上に太ったら、また劣化したら、即離婚だと。あのスタイルに惚れたのに。あの顔が好きだったのに。それらがあれば、他の難には目を瞑れたのに。
 今となっては、二十四時間、目を瞑っていたい。あの姿を見ないで済むように。
 それでも、こうやって一緒に暮らしているのは、もはや愛とか性とかではない。それらを超越した、なにか別のものだ。たぶん、それを人は「情」と呼ぶのだろう。可愛い子犬だと思って拾ってきたものが、巨大でひとつも可愛くない珍犬に成長したからといって、それを理由に捨てることができないのと同じだ。

真梨幸子 5人のジュンコ(徳間文庫)

ねこです。

ながく いっしょに くらしていると「ジョー」というものが わくらしいです。
シシドジョーとか ジョーショージとか ジョーノウチサナエとか
なつかしいひとばかり おもいうかびますが あまりかんけいなさそう。
あと マイケル・ジョーダンも かんけいないっぽい。

「ジョー」がわくと かんたんに すてられなくなるみたいです。
もちものも ながくつかえば つかうほど「ジョー」が わいてしまって
なかなか すてられないです。
おきにいりで なんども きていた ようふくとか
もう きないのに ようふくいれる いるいケースの おくに しまいがち。
なんなら さんだんにつんだ いるいケースの ジョーダンの おくに しまいがち。
「ジョー」に たいこうするには「だんしゃり」と「おもいきり」
これです。
おもいきって だんしゃりすることが だいじです。
「おもいきり」って「おもい」を「きる」みたいで
まさに「ジョー」を たちきれそうな かんじがします。

ねこは おねいさんに おもいきられないように がんばりたいです。

許されようとは思いません

どれもいいにおい、そして、いいあじ

 あれは、たしか私が四歳、姉が十歳のときのことだったと思う。
 私は『マフィンおばさんのぱんや』という絵本が大好きで、仕事で忙しい母の代わりによく姉に読み聞かせてもらっていた。
 その日もリビングで自分用の字の小さな本を読んでいた姉のところに絵本を持っていくと、姉は『よかよ、こっちにこんね』と言って微笑んだ。隣にぴったりとくっついて座り、姉の開いた絵本の中を覗き込む。姉は一枚一枚ページをめくりながら、母よりはほんの少したどたどしい口調で読んでくれた。
『たなにならんだつぼのなかをのぞくと、つぼのなかみは、アノダッテのすきなものばかり。いちごジャム、くろすぐりのジャム、プラム、ほしぶどう、コーヒー・クリーム、りんごジャム、チョコレート、シナモン、アーモンド、こなざとう。どれもいいにおい、そして、いいあじ』

芦沢 央.許されようとは思いません (新潮文庫)

ねこです。

おねいさんが こどものころ こうじょうけんがくで いった
パンこうじょうは とても おおきくて おいしいにおいの する こうじょうでした。
おねいさんが とくに きにいったのは しょくパンを やいているところ。
きれいな ちょうほうけいの きつねいろの パンが
せいぜんと ならぶ すがたに かんどうしたとか しないとか。

こうじょうけんがくの かえりに クリームパンと カレーパンを もらってかえったのだけど
こどもには カレーパン ちょっと からくて
べつの がくねんが クリームパンと いちごジャムパンだったときいて
そっちがよかった!ってなりました。

ジャムと いえば おねいさんは わりと マーマレードがすきです。
いちごジャムパンはよくみかけるのに マーマレードジャムパンってみたことがないです。
いちごジャムかいわいが マーマレードのしんしゅつを はばんでいるのでは?
これは こっかいぎいんに はたらきかけたほうがいいやつ?
ジャムにも たようせいは ひつようだとおもいます。
パンかいわいに つよい こっかいぎいんさん おしえてください。

インビジブルレイン警部補姫川玲子

それが今、自分は、どうしようもなく、嬉しいんだ。

『この前の、ラウンジじゃ……なんですよね』
「ええ……別のところの方が、私は」
『どこが、いいですか』
 とてもじゃないが、そんなことを考えられる状態ではない。
「決めてください……あなたが」
 姫川はしばらく間を置いてから、六本木ミッドタウンのホテル内にあるカフェレストランを指定してきた。時間は、今から一時間後。
「分かりました……必ず、伺います」
『じゃあ……のちほど。失礼します』
 電話を切る。
 ふいに、自分の体が重いのか、軽いのか、車内が暑いのか寒いのか、そんなことも、よく分からなくなった。
 会える。もう一度、姫川玲子に。
 そう思うと、強烈な浮遊感が腰の辺りを押し上げてくる。だが、どんな顔をして会ったらいいのかと考えると、急にシートに穴が開いて、墜落していきそうになる。
 赤信号だろうか。ゆっくりとエルグランドは停止した。
「……兄貴。誰かと、会うんですか」
 ああ、会うんだ。
 なんのために会うかは、自分でもよく分からないが、とにかく、会うんだ。
 それが今、自分は、どうしようもなく、嬉しいんだ。

誉田哲也.インビジブルレイン警部補姫川玲子(光文社文庫)

ねこです。

ひとは あうと うれしくなる あいてが いるみたいです。
ねこは おねいさんに あうと うれしいですが
ほかの にんげんは ふつーです。

でも ちゅーるくれる ひとは とくべつ。
まいにちでも あいたい。
これが あうと うれしくなるって やつですか?

おねいさんも もしかして ちゅーるめあてで
ひとと あっている かのうせい?
なんか しってはいけない ひみつを しってしまったかもしれません。

こんど おねいさんからもらう ちゅーるの でどころを
かいめいするために あとを つけてみたいとおもいます。