コーヒーが冷めないうちに

でも、ほら、そういうのって、全身で出せばいいってもんじゃないでしょ?

 長くなったタバコの灰が音もなく落ちた。それに気づいた平井が、
「……はい、終わり」
 と、言って、タバコの火をもみ消した。
 流はうつむき、高竹はカップに手をかけたまま動かない。計は心配そうにじっと平井を見つめている。
 平井は、そんな三人の顔を見渡すと、ため息をつきながら、
「私さ、辛気臭いことって苦手なのよ」
 と、うんざりしたように吐き捨てた。
「平井さん……」
 と、計が何か言いかけたが、平井はそれを手でさえぎり、
「だから、そうやって暗い顔して、大丈夫ですか?とかって聞くのもなしね」
 と、念を押した。
 計は、それでもまだ何か言いたそうな顔をしていたので、平井は、
「私、これでもちゃんと悲しんでるから……でも、ほら、そういうのって、全身で出せばいいってもんじゃないでしょ?」
 と、泣く子をなだめるような口調で説明した。クールといえば、クールである。もし、仮に、計が平井の立場だったら、計は三日三晩泣きつづけるのかもしれない。高竹であれば、喪に服すという言葉通り、しばらくは故人の死を悼み、行動を慎む事だろう。しかし、平井は計でも、高竹でもない。
「私には私の悲しみ方があるから……」

川口俊和.コーヒーが冷めないうちに

ねこです。

ねこは あまり なくことはありません。
はやい くるまに のっけられても
きゅうに スピンかけられても
こわくないです。
でも おねいさんが いなくなったりしたら なくかも。
みっかみばん なきつづけるかも。
そして たびに でるかも。
おねいさんの すがたを さがして たびに でるかも。

たぶんね、さんぞうほうしも なにか かなしいことが あって
てんじくへ いこうと したんじゃないかな?
つまり ねこも にしへ すすむべきなのかも。
そして さるっぽいのとか ぶたっぽいのとか かっぱっぽいのとか
ひきつれながら てんじくへ ありがたい おきょうを いただきに いくしかない。
そして おきょうを みつけたら
「おきょうを いただきに さんじょうほうし」
と ダジャレを かまして みごとに だっしゅ。
おねいさんも あのよで うかばれます。

とりあえず じぜんじゅんびってことで てんじくの ばしょを
ググルマップで しらべておくところから。

えっ てんじくって にほんじゃないの?
ひがえりで いけるくらいの かんじで かんがえていました。
よみが あまかったです。
しかたがないので はこねくらいで かわりの おきょう さがすことにします。

倫敦スコーンの謎〈小市民〉シリーズ

わたしたちだって、おにぎりの本場はどこかって訊かれたら困るでしょう?

「話に水を差すようだったら、ごめん。ごく単純な疑問なんだけど、そもそもスコーンってロンドンのお菓子なの?」
 すると、それまでキッチンを見つめていた小佐内さんが目だけをぼくに向け、声を殺して言った。
「小鳩くん。いきなり怖いこと訊かないで。わたしはお菓子の研究家じゃないの」
「怖いことだと思わなかった。ごめん」
「スコーンは、スコットランドで生まれたみたい」
 あれ。研究家じゃないからわからないって話じゃなかったのか。
「じゃあ、スコットランドの名物なんだね」
「とも言い切れなさそう。スコーンにジャムとクロテッドクリームを添えて紅茶のお供にするクリームティーは、イングランドの西の方で誕生したんだって」
 ふむ。
「じゃあ、現代風のスコーンは西の方の名物なのか」
「でも、クリームティーを含む、午後に軽食を食べるって習慣は、そもそもイングランド中部の貴族が始めたもの」
「……」
「ところがお茶を飲む習慣それ自体は、ポルトガルから伝えられて王宮から広まっていった。つまりロンドン」
 ぼくが困惑しているのが楽しいのか、小佐内さんはちょっと悪戯っぽく小首を傾げる。
「スコーンとお茶の組み合わせは、イギリス中のあっちこっちで生まれたすてきなものを柔軟に取り入れた、オールブリテンって感じの習慣じゃないかなってこと。わたしには、どこが本場とも言いにくい。例として適切かわからないけれど、わたしたちだって、おにぎりの本場はどこかって訊かれたら困るでしょう?」

米澤穂信.倫敦スコーンの謎〈小市民〉シリーズ(創元推理文庫)

ねこです。

おにぎりの ほんばは ねこには わかりません。
そして せかいはつの おにぎりは うめだったのか しゃけだったのか。
はたまた いちぶの しりょうでは さいきょうの おにぎりとも しょうされる
ツナマヨだったのか。
きになりまくりです。

むかし おねいさんが おひるごはんに おにぎりを つくってもっていってたころ
ていばんの ぐが ありました。
しゃけフレーク、しらす、のりのつくだに(からいやつ)、たべるラーゆ。
なかでも たべるラーゆおにぎりは やばいです。
まず、あぶらが しみて もれます。
あぶらを きって ぐだけを いれたつもりでも しみもれてきます。
ラップにじゅうまき ひっす。
そして からうますぎて いっきに たべてしまい、のどに つまります。
しの よかん。
なにもかもが ギルティ。

あまりに つみなので ふういんされた おにぎりなのでは?と
かんちがいしてしまうほどです。
もしかしたら せかいはつの おにぎりは たべるラーゆだった かのうせいも
あるかもしれません。
すうせんねんの ときを こえて ふっかつした でんせつの おにぎり。

これはもう ほうのうすべき おにぎりな きがしてきました。
でも あぶらが しみて よごしてしまう かのうせいが あるので やめておきます。

ネコの手を借ります。

となったら、クラゲと人類は、どっちが本当に高等な生き物なのかって話ですよ

「バカだと思ったりはしませんか?」長瀬さんがおそらく初めて、横目で宗也を見た。「クラゲって、脳も心臓もないんですよ。だから人間から見ればバカな存在にしか思えない。バカだから、いつウミガメなどの天敵に食べられるか判らないのに、ゆらゆらと無防備に海を漂ってる」
「ああ……バカと言えば、バカなんですかね」
「でもクラゲは五億年もの間、ほとんど姿を変えないで地球上で生き残ってるんです。恐竜の時代よりも前から生息してて、今もちゃんと生き延びてる。本当にバカだったら、とっくに絶滅してるんじゃないかっていう考え方もできるわけで」
「ああ、確かにそうですよね」
「クラゲは下等生物だっていうのが世間の常識らしいけど、私はそうなんだろうかって昔から思ってて。最近では、はっきりそれは違うんじゃないかって思ってるんです」
「ほう」宗也は心の中で、その心は?と続けた。
「クラゲは戦争もしないし環境破壊もしない。地球環境と調和しながら五億年も生き続けてる。一方、人類の祖先が出現したのは、七百万年前から四百万年前ぐらいの間。クラゲの百分の一程度の時間しかまだ生きてない。なのに人類同士は戦争ばかりやって殺し合いをやめないし、目先の利益を優先して深刻な環境破壊を招いて自分たちの首を絞めてる。人類の寿命はきっと、クラゲよりはるかに短いんじゃないかって私は思ってます。となったら、クラゲと人類は、どっちが本当に高等な生き物なのかって話ですよ」
 どすんとボディブローを食らったような気分だった。人類は高等な動物で、他の生物たちはそれよりも本当に劣っているのか?結構な命題ではある。

山本甲士.ネコの手を借ります。(小学館文庫)

ねこです。

クラゲは いつみても ぷかぷかういていて きもちよさそう。
シンえのしますいぞくかんで クラゲみるたびに おもいます。
でも クラゲも じつは えさのとりあいとか りょうどもんだいとか
あったりするのでは?って ちょっとだけ おもったりしています。
よのなかには ようかいだいせんそうが あるくらいだし、
クラゲだって すこしくらは あらそいしてるかもです。

っておもったけど すいぞくかんとちがって うみは ひろい。そして おおきい。
あんまり りょうどもんだいとか なさそうなかんじもします。
そして すいぞくかんは せまい。
わちゃわちゃしているあいだに なにがなんだか わからなくなってそう。

すこし クラゲが うらやましくなってきました。
ねこも いつか ぷかぷか くらしてみたいです。