死神の精度

「自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりすると、何だか幸せじゃないですか」

「わたし、土日とかいつも暇なんですよ。昨日は嘘をついちゃいました。すみません」彼女は頭を下げた。垂れ下がった前髪が、カフェオレに入るのではないか、と私は心配になる。
「いや」荻原がそこで軽快に言った。「そんなの嘘のうちに入りませんよ
「え?」
「僕の昔観た映画でこう言ってたんです」
 それは一昨日、私に聞かせたのと同じ内容だな、と気づき、種を知っている手品を目撃するような気恥ずかしさに襲われる。
「『誤りと嘘に大した違いはない』って。それから」荻原がそこで間を置き、つづきを口にしようとしたがそれより先に、古川朝美のほうが言葉を発した。
「『微妙な嘘は、ほとんど誤りに近い』ですね」
「あ」と驚いた荻原は一瞬、息を止め、しばらくした後で、「古川さんも」とかろうじて言った。
「ええ、意外に好きなんです、あの映画」と彼女も勢い良くうなずいた。
 そして、まるで二人で示し合わせたかのように、映画の題名を口にすると、その重なり具合にさらに感動したのか、同時に噴き出した。私はただそれを傍観している。「自分と相手が同じことを考えたり、同じことを口走ったりすると、何だか幸せじゃないですか」と言った荻原の言葉が、頭をよぎった。

伊坂幸太郎.死神の精度(文春文庫)

ねこです。

すきな おんがく や すきな えいが や すきな ゆうめいじん が いっしょ だと はなし が もりあがり ます。
どれくらい もりあがるかというと おおもりチャーハン くらい。

チャーハンと いえば ちゅうかりょうりやさん はいったときの かいわでも あらわれます。
「あ なんか チャーハン たべたいねー」
「いいねー」
「じゃあ おおもりチャーハン いっこ たのんで ふたり で わける?」
「そうしよう」
なかよし の しるし です。

じつは ねこ と おねいさん も き が あいます。
おはよう と いうと おはよう と いう
ごはんー と いうと ごはんー と いう
あそぼう と いうと あそぼう と いう
なに これ もしや かねこみすゞさん?

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