妻に限らず女性は、いや人間は、と言うべきかもしれないが、とかく、「裏メッセージ」に敏感だ。
家に帰ると克巳が居間にいて、カップラーメンを食べていた。育ちざかりの高校生なのだから、もっと栄養のあるものを食べろ。と兜は言わない。自分が同じ年の頃は、もっといい加減な食生活で、というよりも生活自体が爛れきっていたため、言う資格がないという思いだったが、それ以上に、「カップラーメンなど食べるな」と否定すれば、それはすなわち妻に、「ちゃんとした料理を作れ」とメッセージを発していると受け止められる可能性がある。妻に限らず女性は、いや人間は、と言うべきかもしれないが、とかく、「裏メッセージ」に敏感だ。相手の発した言葉の裏には、別の思惑、嫌味や批判、依頼が込められているのではないか、と推察し、受け止める。おそらく、言葉が最大のコミュニケーション方法となった人間ならではの、生き残るための能力の一つなのだろう。困るのは、こちらが裏メッセージなどまったく込めていないにもかかわらず、嫌味や当てこすりだと解釈されることだ。たまったものではない。そして兜の妻は、表しかないメッセージに裏を見つける天才だった。
伊坂幸太郎.AXアックス(角川文庫)
ねこです。
うらメッセージ は なにやら あんごうめいた ものです。
もう いっしゅ の なぞとき。
ほんね と たてまえ を つかいわける ニッポン の おとなには ひっす な ぎじゅつ。
だいじょーぶ は だいじょーぶじゃない
まえむき に けんとー します は おことわり
いけたら いく は ぜったい に こない
ねこ も このくらい なら あさめしまえ です。
あ あさめしまえ と いっても ほんとう に あさめし の まえでは ないので あしからず。
あさめし と いえば なごや の きっさてんでは コーヒー たのむと パン とか たまご とか ついてくるらしい。
なごや と となりまち ぎりぎり の さかいめ の きっさてん は ちょっと こまる。
ついてくるのか ついてこないのか さあどっち?
めっちゃ ききたいけど ここ は おみせ を しんじて ついてくるに かける!
いいたいことも いえない こんな よのなかじゃ と そりまちさん が なげくのも
いたしかたない じだい なのです。