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高校入試

怒り出すのは、おそらく、自分の行動に自信がないからだろう

 水野先生の次は本部で英語の答案用紙を受け取った上条教頭だ。事情はわかっているはずなのに、事情聴取というスタイルが気に入らないのか、不機嫌そうな顔をしている。
「私は村井くんから封筒を受け取ってちゃんと枚数を確認したよ。四〇枚あったから署名をしたんだ」
「受験番号の確認もされましたか」
「当然じゃないか」
「絶対に?」
「私を疑うなんて、失礼だよ」
 怒り出すのは、おそらく、自分の行動に自信がないからだろう。が、これ以上問い詰めても、手がかりは得られなそうだ。

湊かなえ.高校入試(角川文庫)

ねこです。

じしんが なかったり やましいことが あると おこりだすもの。
さらに きりこむと ひらきなおるまで あります。
ねこは きほんてきに なにか やらかしても ポーカーフェイスです。
なんなら「わたし しりませんけど」くらいの いきおい。

でも なぜか おねいさんには ばれてます。
つくえの うえの えんぴつたて おとしたことも
ティッシュの はこを ほりほりしたことも
せんたくものに くるまって けだらけにしたことも
なにもかも おみとおし!

なんで ばれてるのかなー?
もっと ポーカーフェイスの れんしゅう しておこうとおもいます。

母性

愛なんて見えなくて結構。むしろ、見えないからこそ、世の中それなりに成り立っているんだ。

「まあ、確かに、愛なんてのは、説明しにくい言葉だな。りんごやみかんのように、色や形や大きさで表すことができりゃラクだろうよ。近頃の果物には糖度なんていう、甘さを示す数値まで表示されているしな」
「真っ赤で、左右バランスのとれたハート形、両手に抱えきれない大きさで、甘さはマックスの一〇〇、って感じですか?確かに、見えると便利ですね」
「いや、やっぱりダメだ。嫁のハートが年々色あせて、しぼんでいくのがわかるんだぞ。おまけにこっちがしぼんでいくのを見られたら、こっぴどく文句を言われるに決まってる。愛なんて見えなくて結構。むしろ、見えないからこそ、世の中それなりに成り立っているんだ。そう考えてみりゃ、愛能う限り、なんて敢えて口に出す言葉じゃないな。胡散臭さまで漂ってきたぞ。この母親が娘の殺人容疑をかけられていて、弁明のために言ってるなら納得もできるが……。まさか、おまえはその可能性を疑っているのか?」
 くだらないことを並べながら、ふいと核心をついてくる。賢そうなことばかり口にしている人は頭がよく、バカ話ばかりしている人は頭が悪い、と決めつけてはいけないことくらい、小学生ではあるまいし、わかりきったことなのに、やはり、イメージだけで判断していたようだ。

湊かなえ.母性(新潮文庫)

ねこです。

そういえば むかし ロマンシング・サ ガ と いう ゲーム で

あい が アップ!

って ステータス が アップ する しよう でしたが、あれ こそ あい の すうち か では ないですか?

でも なぜ モンスター を たおす と あい が アップ するのか なぞ です。
モンスター を しばけば しばくほど あい が アップ。
モンスター を じあい の せいしん で ビシバシ やらなければ いけないの です。

あっ もしかして「あい の むち」って そういう こと?

少女

――世界は広い。遠くまで逃げれば、なんとかなるでしょ

 あの日と同じ――。
 国道沿いを走り続け、人気のない日の落ちかけた公園に飛び込み、敦子はようやく足を止めた。
「ここまで来れば、大丈夫」
 大きく肩で息をしながら、敦子が言う。
「なにが……、大丈夫なの?わたしたちが……、おじさん……、刺したわけじゃないのに……」
 わたしも肩で息をしながら答える。走っているときは意識しなかったのに、立ち止まった途端、酸欠状態だ。視界はすっかり晴れ、今度は心臓が悲鳴をあげている。これでいい。魂はここにあるということなのだから。
 敦子が大きく深呼吸した。すっきりとした顔でわたしを見る。
「だって、警察とかに事情聴かれたりするのって、面倒くさいじゃん。こういうときはとりあえず、逃げとかなきゃ。――世界は広い。遠くまで逃げれば、なんとかなるでしょ」
 そう言うと、何がおもしろいのか、ゲラゲラと笑い出した。
 それにつられてわたしも笑った。
 あのときと同じ言葉――。死にたいとばかり思っていたわたしを道場から連れ出した敦子は、ひたすら走り続け、校区外の見たこともない場所で足を止めると、すっきりとしたりりしい顔で言ったのだ。
 ――世界は広い。遠くまで逃げれば、なんとかなるでしょ。
 わたしたちは笑い続けた。カラスの鳴き声がおかしくて、目の前を通りすぎていくカップルの身長差がおかしくて、欠けたベンチがおかしくて、『つぶつぶオレンジ』と書かれた空き缶がおかしくて、笑い続けた。

湊かなえ.少女(双葉文庫)

ねこです。

にげるがかち って ことば が あります。
でも がっこう で ならうことって にげずに たちむかいなさい ってこと ばっかり。
なにそれ いかりシンジくん?
たまには せけん から にげてみても いいんじゃないかな って
ねこは おもうよ。
にげてにげて とおいところまで きたら あたらしい せかい が ひろがるかも。
なにもかも いやに なったら いっそ おだきゅー で にげましょか。
そのさきには はこねゆもと が まってるよ。