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まほろ駅前狂騒曲

でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?

「ねえ、多田さん」
 と、ばあちゃんは言った。「あの世ってあるんだろうかねえ」
 多田は言葉に詰まった。多田としては、あの世などないと思っている。死んだら終わりだ。その考えはいつも、震えるほどの寄る辺なさと、清々するような解放感とを多田にもたらす。だが、弱気になっているらしい曽根田のばあちゃんに対し、「ないと思います」と答えるのはためらわれた。ばあちゃんを力づけるような、どんな言葉も持ちあわせていないことが歯がゆかった。
「あの世なんてないよ」
 返答の遅れた多田に代わり、行天が堂々と言い放った。曽根田のばあちゃんは表情を強張らせる。
 言いにくいことを、そんなにズバッと告げなくてもいいだろう。多田は苦々しく思い、
「おい、行天」
 と制そうとした。だが行天は、かまわずに言葉をつづけた。
「でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?」

三浦しをん.まほろ駅前狂騒曲(文春文庫)

ねこです。

ねこ は あのよ とか このよ とか そのよ とか どのよ?って かんじです。
よく きくのは
おじいさん は てんごく へ いきました とか
ペロ は おほしさま に なったのよ とか
きほんてき に そら たかく のぼっていく イメージ です。

ねこ は くも の うえ に いけたらいいなって おもいます。
ふかふか してそうだし わたがしみたいに おいしいかもだし
マリオ の せかいでも くも の うえって だいたい コイン たくさん あるし。
そう かんがえると しぬのも そんなに こわくない きがしてきます。

でも できれば ねこ の こと おぼえていてくれる ひと が いるといいな。
おねいさん は おぼえていて くれるかな?
きのう の おひる も わすれちゃうくらいだし ちょっと しんぱい。


まほろ駅前番外地

たしかに、便所見るとわかるんだよね

 岡夫人はようやく真相に気がついた。庭の奥のほうから、謎の液体入りペットボトルペットボトルを持って出てきたらしい助手。助手いわく水分も養分も充分なのに、弱ってしまった椿の木。居心地が悪そうだった多田。
「ごめんなさい。トイレをお貸しするってことを、すっかり忘れてました」
 と岡夫人は言った。
「んー、べつに」
 助手はうまそうに空に向かって煙を吐いた。「多田はどこの家でも、便所は借りないよ。俺はしたくなったら借りちゃうけど、そうすると多田がいやそうな顔するんだよね」
「まあ、どうして?」
「あんまりその家のことを知っちゃうのは、失礼だと思ってるんじゃない」
 助手は弧を描いてカニ歩きした。妙な動きだと思ったが、どうやら風向きの変化に応じて、煙が岡夫人のほうへ流れないよう気づかっているらしい。
「たしかに、便所見るとわかるんだよね」
「なにが?」
「どんな紙使ってるか、掃除してあるか、花が飾ってあったとしたら造花かどうか。そういうところから、そこんちの経済やマメさやセンスや、いろいろが」

三浦しをん.まほろ駅前番外地(文春文庫)

ねこです。

トイレ を みると そのいえ の こと が わかる らしいよ。
おねいさん は こども の ころ いえ は もちろん
えきビル の トイレ や じゅく の トイレ ありとあらゆる トイレ の
トイレットペーパー を さんかく に おること に いのち かけてたって。
どこで しったのか わからないけど つぎから つぎへ と さんかくおり。
あれって「おそうじ おわったよ」の おしらせでも あるので あるいみ めーわく。
ねこ の トイレ は トイレットペーパー ないので おねいさん の いたずらには まどわされませんのだ!

まほろ駅前多田便利軒

横浜といったら、やっぱり崎陽軒でしょう

「はい、お弁当」
 と、オレンジ色の紙で包装された箱をくれた。「横浜といったら、やっぱり崎陽軒でしょう」
 ハイシーは箱を手に、電車に乗った。発車までのわずかな時間、開いたドアを境にハイシーと行天は立っていた。
「あなた本当にまほろに戻るの?」
「うん」
「危ないよ。一緒に行こう」
 自分の言葉に、ハイシーは驚いた。馬鹿な男と同じようなことを言ってる、と。
「サバクを見に?」
 行天は笑った。「何日かしたら、コロンビア人にでも電話してみてよ。それまでに終わらせとくようにするからさ」
 ドアが閉まり、行天をホームに残して電車は走りだした。ハイシーに言わせると、「ふつうだったら、惚れてる」そうだ。
「だけど電車のなかで崎陽軒の箱を開けたらさあ。

三浦しをん.まほろ駅前多田便利軒(文春文庫)

ねこです。

よこはま の おべんとう と いえば シウマイべんとう です。
8つ に くぎられた あの ごはん は シウマイ 5こ からあげ まぐろのつけやき うめぼし で
たべる と ちょうど よいので うまく できています。
たまごやき に かまぼこ と そつのない チョイス。
たけのこ の にもの も ほどよい あまさ で まんぞく。
こんぶ の つくだに と せんぎり の しょうが も だきょう していません。
そして さいご は デザート とも いうべき あんず。
これこそ が シウマイ べんとう の シンズイ です。

でも そんな シウマイべんとう を ツウな人 は おさけ の つまみ として いただくんだって。
おねいさん も ビール かたて に シウマイ を つまんだり
まぐろのつけやき を つついたり
なるほど たしかに ビール との あいしょう も ぴったり。

どんな ばめん でも てきおう する シウマイべんとう は たび には かかせません。

ねこ に またたび
たび には シウマイべんとう。

あ この キャッチコピー つかっても いいよ。